いつかは女子の早慶戦・早明戦を 早稲田女子ラグビー創部半年、初心者もタックルで歴史的初勝利
女子7人制ラグビーのシーズンが7月に終わり、15人制のシーズンに移った。今春発足した早稲田大学ラグビー蹴球部女子部は、今年は7人制に活動を限定したため、短かった初年度を終えた。発起人4人以外は大半が初心者、というチームは苦戦が予想されたが、5月には公式戦で初勝利を挙げることができた。最終的に今季は2勝どまりだったが、千北佳英主将(ちぎた・かえ、3年、田園調布雙葉)は「壁は高いかもしれないが、すごく成長している。可能性のあるチームになってきた」と、来シーズンに期待している。 【写真】4月の発足会見後、早稲田の大隈講堂の前で。赤黒のユニホームを着ているのが発起人4人
大差の連敗後に初勝利 初心者も奮闘
5月12日、静岡・エコパスタジアムの第1試合は、14-7と1トライ1ゴール差でロスタイムに入っていた。 女子7人制の最高峰である太陽生命ウィメンズセブンズシリーズへの昇格大会。早稲田の女子部は、初日のプール戦で大差の連敗を喫し、2日目の順位決定トーナメント初戦に臨んでいた。 ハーフライン付近から攻撃を仕掛けてくる相手に、岩淵心香(1年、青稜)と藤田野愛(2年、早稲田佐賀)が次々と絡みつくようにタックル。倒したところを逃さず寺谷芽生(3年、関東学院六浦)がジャッカルに入り、審判がノットリリースザボールの反則を宣告すると、勝利を確信した歓声が上がった。ペナルティーキックから、この試合2トライを挙げた岡本美優(2年、明大明治)がタッチに蹴り出し、ノーサイド。初心者を含む2人で作った好機を、経験者が仕上げた。チームを象徴するような幕切れ。早稲田大の女子ラグビーが挙げた、記念すべき初勝利の瞬間となった。 ベンチの選手も悲鳴のような声を上げながら駆け寄り、輪になった。「みんなで勝ち切れた、っていうあの空間はすごくよかった。どんなに厳しくても、あの瞬間のために頑張れるっていうのをみんなにわかってもらえた」と千北は振り返る。 大会初日は、初試合に緊張して、何をやればいいのかわからないまま終わってしまった初心者の選手も多かったという。ところが2日目、初心者の選手たちだけでボールをつなぎ、前進する場面があった。「ああ、ラグビーがわかってきたんだな、役割がわかってきたんだな、って」。千北がこの日一番印象に残ったシーンだったという。 残念ながらその後は3連敗でシリーズへの昇格は果たせず、参加9チーム中8位。その後も7月までいくつかの大会があったが、1勝を加えるにとどまった。秋冬がシーズンの15人制はコンタクトが激しく、早稲田女子部としては初心者がやるのは危険と判断して、今季は参加を見送ることになった。