「食べ残し廃棄に待った!」 ホテルが取り組む食品ロス削減の“確かな一手” 忘年会 客側も「食べ残し」しない意識を
しかし、どうしてもパンが残ってしまう。昔は残ったパンをパン粉にして利用していたが、残ったパンをカットしてストックしておき、それを乾燥させてチョコレートやメープル味のラスクにして販売するようになったという。 従来は、多めに作らなければサービスとして提供できない食べ放題メニューでも、余った食材は大量に廃棄するしかなかった。しかし、残った食材を加工し、新たな商品として販売することで、フードロスの削減に大きく貢献している。
■「3010運動」の展開 3010(さんまる・いちまる)運動は、宴会時の食べ残しを減らすために、乾杯後30分間と宴会の終了前10分は料理を楽しむよう呼び掛けて、食品ロスを減らしていく運動である。 2011年に長野県松本市から始まったこの運動を、2018年より日本ホテルおよびグループホテルのJR東日本ホテルズ全体の取り組みとして展開するようにした。 下図のように「事前打ち合わせ」→「開催当日」→「イベント開催中」→「終了後」を「食品ロス削減サイクル」の各段階で取り組み、宴会料理の完食率向上を目指すようにしている。
取り組みの開始後、コロナ禍の影響もあったため経年比較が難しいが、2018年と2019年の一定期間を比較すると、エドモント全体で16%の生ごみが削減され、宴会終了後の生ごみでは14%が削減されている。 「食品ロス削減サイクル」各段階におけるスタッフの、現場での細やかな工夫、配慮、声掛けが食品ロス削減に大きく貢献しているのだ。 またホテル内のレストランや宴会で食べきれなかった料理を、客の自己責任で持ち帰ってもらい、食品ロスを削減する取り組みに「mottECO(モッテコ)」がある。mottECOには「もっとエコ」と「持って帰ろう」という意味があり、国が推奨する取り組みだ。
外食大手のデニーズとロイヤルホストが2021年から連携してスタート。2022年には和食さとと日本ホテルが加わり4社連携のコンソーシアムとなった。2024年度からは産官民21団体が連携する「mottECO普及コンソーシアム」となって食品ロス削減を推進している。 もちろん、安全衛生上、すべての食材が持ち帰れるわけではない。日本ホテルでは「中心温度が75度以上で加熱したもの」という社内基準を設定し、パン、フライドチキン、ピラフ等が対象となる。生もの、傷みやすい料理は持ち帰れない。