「食べ残し廃棄に待った!」 ホテルが取り組む食品ロス削減の“確かな一手” 忘年会 客側も「食べ残し」しない意識を
華やかなホテルの宴会やレストランからは大量の食品ロスが発生しているというイメージを勝手に描いていたが、エドモントでの取り組みはまったく違っていた。 エドモントが食品ロスへの取り組みを始めたのは、統括名誉総料理長の中村勝宏氏(日本人として初めてミシュランの一つ星を獲得し、北海道洞爺湖サミット2008では総料理長を務めた)が2017年に日本初の国連食糧農業機関(FAO)の親善大使へ就任したことが起点となっている。
中村氏はそこで世界の飢餓問題、食糧問題を目の当たりにし、フードロスについての問題意識を高めていった。一方、自分だけが食品ロスへの問題意識を高めても仕方ないと考え、ホテルのスタッフも含め、みんなで意識を高めていこうと松田氏に相談した。 それをきっかけに2018年、会社として食品ロス削減に取り組む方針を決定し、社内に「食品ロス削減プロジェクト」が発足。勉強会や検討会を開いて食材の調達から食品提供まで一連のプロセスを点検し、食品ロスはどこで発生しているのか確認していった。
その結果、回を重ねるにつれ、スタッフは食品ロスを我がことのように考えるようになる。そして、部署ごとに改善できることを実践していくようになった。 その取り組みについて以下に紹介する。 ■「もったいないメニュー」を開発 まず、食品ロス削減の勉強会で調理担当者が提案したのが「もったいないメニュー」だ。 これは、和洋それぞれのシェフが食材を余すことなく活用し、工夫を凝らして作り上げた、エドモントならではのオリジナルメニュー。例えば普段なら廃棄する魚のあらをフランス料理に欠かせない出汁やスープにしたり、野菜の皮や葉を味わい深い和食や、彩り豊かなオードブルにしたりする。
エドモントでは、主催者の賛同を得たうえで、「もったいないメニュー」を実際にパーティ料理として提供しているという。そのことで食品ロス削減はもちろん、お客様が食品ロスについて考えるきっかけづくりにも貢献している。 筆者が訪問したときには、パンの余りを活用した「ラスク」を試食させていただいた。 総料理長・岩崎均氏の説明によれば、宴会でパンを提供するときには「おかわり」と言われてから焼くわけにはいかず、その量もわからないので、あらかじめ人数に比例した個数を用意しておき、求められればすぐに出す形をとっている。