能登半島地震で1か月以上ばらばらに 鵬学園を結束させた主将・下地李采の決意「自分が引っ張らないと」【ウインターカップ】
震災を経て生まれた変化「よく声を出すようになった」
牽引したのが下地だ。部員の半数以上が石川県出身。引っ越しを余儀なくされた生徒もいる。「こんなことがあっても頑張っているチームメートを凄く尊敬する。辛い思いをしている子も沢山いるので、自分がもっと引っ張らないとダメだ。自分が盛り上げようと沢山声をかけた」。本間遼太郎監督も「よく声を出すようになった。自分たちで盛り上げる場面が凄く多くなった」と変化を実感する。 「自分が声を出せば、周りの誰かも出してくれる。どれだけ悪くても、声だけは絶対なくさない」。主将の覚悟に引っ張られるように、下級生もどんどん発言するようになった。「もともと先輩後輩が関係ないチームだったが、それがより深まり、何でも本当に言い合えるようになった」と山本。本間監督は「結束が強い」と今のチームを表現する。 この日も東京体育館のコートに「1本1本!」「強気で強気で!」と大きな声が響いた。ディフェンスリバウンドをしっかり拾って走る。持ち味のバスケットで2連勝。下地と山本は2試合連続で二桁得点と躍動した。逆境を乗り越え、夏のインターハイでは8強入り。今大会もあと1勝で初のベスト8進出だ。 「自分たちが結果を出して、地域の人たちにもっと勇気と元気を与えられるようにと頑張ってきた」(山本)。「いろんな大学や高校にお世話になった。当たり前じゃないと実感できた。感謝して恩返ししよう」(下地)。温かく支えてくれる地元の人たちのためにも、練習場所がない時に受け入れてくれた県外の人たちのためにも、鵬学園は優勝を目指す。
THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku