三井住友銀、ソニーらが42億円出資、大手6社と提携のアスエネ。「M&Aで国内気候テック再編」も視野
SMBC「本体」が出資
──投資家の顔ぶれを見ると製造業だけではありません。 そうです。ただ、例えばリードインベスターの1社、SMBCさんは金額的に最も多く投資いただきましたが、スタートアップへの投資は通常、CVC部門(SMBCベンチャーキャピタル)が担っています。今回はSMBCさん本体が直接出資した。サステナビリティは重点分野のため、本体が出資する判断を下されたということです。 そして、SMBCさんのお客さまで最も多いのが製造業。同じくリードインベスターの独立系投資顧問会社SPARX(スパークス)の子会社スパークス・アセット・マネジメントさんも同様で、同社らが運営する未来創生3号ファンドにはトヨタ自動車さんもメインで出資しています。 ──資金調達と同時に、金融・製造・IT・物流の大手6社との資本業務提携契約も締結しました。 それもグローバルNo.1になるためです。製造業をメインにしつつ、その他の業界のトップランナーと資本業務提携を締結しました。資金調達に加え、この提携が戦略的に一番重視した点です。 ──提携ではどういった取り組みが進んでいくことになるのでしょうか。 例えばSMBCさんで言うと、彼ら自体もCO2の見える化を一部手掛けているので、そことのデータ連携もあり得ます。ほかに、顧客サポート面のコンサルを含め、SMBCさんのカスタマーサクセス系を我々が担ったり、アジアやアメリカなど海外で共同営業し積極的に顧客を取りに行ったりすることも検討しています。 CO2排出量やESGのデータに金融を組み合わせ、新たなソリューションを生み出すことも考えています。 ──アスエネのどんな点が、こういった大企業から評価されているのでしょうか。 まず、CO2排出量のスコープ1(自社のCO2排出)、スコープ2(エネルギー使用に伴うCO2の排出)だけでなく、スコープ3(取引先のCO2排出)の温室効果ガス(GHG)排出量のデータ回収がしっかりできること。これができる会社は実はそれほど多くありません。 しかも、GHG排出量は、金額ベースで算出するような2次データと、各社が自ら収集する実際の1次データは大きく異なるのですが、アスエネのCO2排出量見える化・削減・報告クラウドサービス「ASUENE」は1次データの回収・比較ができます。これができる会社も、世界でごくわずかです。 ──CO2見える化サービスの精度が高く、充実していると。 例えば、ソニーグループさん。2024年5月にASUENEを導入したと発表しましたが、ソニーさんの狙いはまさに、サプライヤーの1次データを自動的に回収したり、効率化・自動化によってミスを少なくしたりするような体制を築くことでした。