<リオ五輪>登坂が金メダル獲得の裏でお菓子断ち減量法
リオデジャネイロ五輪で金メダリストになった女子レスリング48kg級・登坂絵莉の「別腹」は、たぶん、ちょっと他の人よりも大きい。美味しいご飯をたくさん食べた後には、お菓子をあるだけ食べてしまう。とはいえ、試合前日には48kgで計量に臨まねばならない。だから、食べるときは一日に1000キロカロリー以内におさまるように気をつけている。チョコレート菓子のカロリーは、商品名からすぐ連想できるほどよく調べてある。大好きなコメダ珈琲のシロノワールは1000キロカロリーに収まるけれど、食べていいと特別に許しているとき以外は注文しない。 食べること、とくにお菓子が大好きな登坂の悩みは、体重調整だ。うっかりすると、減量をしない53kg級・吉田沙保里よりも重い通常体重になってしまうことがある。試合のたびに苦しまされる減量を、少しでも改善できないかと試すうち、2月のアジア選手権で孫亜楠(中国)に敗れた。世界選手権を3連覇中の登坂が、五輪まで半年を切ったタイミングで敗れたことは、衝撃をもって伝えられた。 「アジア選手権の前は、2週間前くらいから体重を49.8~50kgでキープしていました。計量が終わって食事をして52kgくらいに戻ったんですけが、すごく体が重く感じられました。それまでの減量は、普段が54kgあって、試合前約1週間で減量していました。その方法だと、体が軽いと感じてとても動きやすいのですが、いつも体重がなかなか落ちなくて苦しかった。だから間を取って、普段の体重、練習前の体重を52.5kg程度にしておき約1週間でいっきに体重を落とす方法をとることにしました」 もちろん、この期間は、大好きなお菓子断ちである。 ぶっつけ本番となったが、五輪で初体験した方法は、にらんだとおり減量がうまくいき、五輪金メダルへの道を作った理由のひとつとなった。 負けず嫌いと「1位」好きは子どもの頃からだが、父・修さんのすすめで9歳から始めたレスリングでは、同世代の一番手になれない時期が長かった。高校1年生でユースオリンピック代表になった1歳年上の宮原優や、2012年の世界ジュニア王者になった同学年の入江ゆきには、なかなか試合で勝てない日が続いた。 「子どもの頃から試合中、ふわりと気が抜ける瞬間がよくあったんです。そして、その瞬間に文字通り、足下をすくわれて負けていた。強くなりたくて、五輪へ行きたくて至学館高校に進学したあとも、なかなか同世代の選手に勝てませんでした。でも、必ずきちんと勝って日本代表になり、五輪へ行く決意は固かった。娘は、決めたことを言葉にして、有言実行するタイプだったようです」(父・修さん)