<リオ五輪>登坂が金メダル獲得の裏でお菓子断ち減量法
念願叶って2013年の世界選手権で優勝、国内でもライバルたちに負けなくなったころ、成人式のためにとんぼ返りで帰省した登坂は、戻りの高速バスへ乗る寸前に、父と母・安津子さんに「節目だから」と手紙を託した。そこには、「今まで育ててくれてありがとう。リオデジャネイロ五輪には、私が絶対に連れて行くからね」とあった。 そのときの言葉通り、登坂は2016年リオデジャネイロ五輪に出場、応援のためやってきた両親には試合当日、LINEで「今日は金メダルを取ります。絶対に負ける気がしません」と、まるで言魂を込めるかのようなメッセージを届けてきた。ビッグマウスと言われようと、必ず願望を口に出して、そして実現する。 これが登坂流なのだ。 決勝の相手、北京銅・ロンドン銀のスタドニク(アゼルバイジャン)には、得意技のタックルこそ防ぎきったものの、先制され終始リードを許した。しかし残り4秒で登坂がバックポイントをとり逆転し金メダリストになった。 「ここしかない、ここで取れなかったら後悔すると思って、最後は点を取りに行きました。勝った瞬間、お世話になった、いろいろな人の顔が頭に浮かびました。弱かった頃からずっと信じて応援してくれた家族には、感謝しかありません」 世界連覇をしたことで、追いかけられる立場に耐えられなくなり、不安のあまり練習中に泣き出したこともあった。そんなときは、身近な先輩、吉田沙保里の姿を見て、彼女のようになりたいという思いを新たにしている。ならば、吉田のように五輪連覇も続けたいのだろうか? 「東京五輪は絶対に出たいです。リオデジャネイロは遠くて、応援に来てもらいやすい場所ではないので、みんなに観てもらいたいので東京五輪には出たいです。でも、沙保里さんみたいに五輪3連覇、4連覇はちょっと厳しいですね」 言葉を力に換え、試合も「別腹」も制した次の目標は、東京五輪での金メダル。追われる立場の重責を乗り切る強さもつかんだ登坂の連覇がかなうのか、タレント揃いの日本女子の若手が台頭するのか。いずれにせよ、日本の女子レスリングの強さを証明することになりそうだ。 (文責・横森綾/フリーライター)