「爆音で音楽聴き続け、耳鳴りが止まない人生に」 若い世代に増加するヘッドホン難聴…気づくのに10年、なぜ? 医師に予防法を聞いた
ヘッドホン難聴に、気づかない人も?
松延准教授はヘッドホン難聴について、「大きな音によって耳の奥の内耳にある、音を感じとる有毛細胞が失われ、慢性の音響性聴器障害による騒音性難聴です。昔は工場や工事現場で耳栓をせずに働き、いつの間にか聞こえ具合が悪くなることがあったのですが、それと同じです」と説明。 仕事の場合は終業時刻になれば騒音から離れられますが、音楽だと楽しくて聴きすぎてしまうのが問題で、「そのまま寝ちゃうと最悪です」とのこと。 特に若者のヘッドホン難聴が現在問題視されているのは、「ヘッドホンやイヤホンを小学生くらいから使う世代が出てきたのは10年くらい前です。そういった世代が成長し、10代、20代となり、周りよりちょっと聞こえが悪いんじゃないかと、または学校や職場の検診で引っかかって、受診する時代になってきたからだと思います」。 ヘッドホンなどを使い始めてから、難聴に気づくのに“10年”もかかることがあるのは、「ヘッドホン・イヤホン難聴は少しずつ、ゆっくり進むので、病院で受診することもなく、気づかない人が多いと言われています」。 では、どういったときにヘッドホン難聴だと気づくのでしょうか。「聞こえづらさ、耳鳴り、耳が詰まったような感じ、そういったことががきっかけになると思います」。 病院では、「イヤホンで大音量で聞き続けていたか」などの問診を受け、他に耳に負担をかける要因がなければ、ヘッドホンやイヤホンが原因だと推定、ヘッドホン難聴だと診断されると言います。 個人差はあれど、音の大きさ、時間の長さにより、どの年代でもなりえて、「大切なのは予防と対策」とのことです。 内耳にある音を感じ取る有毛細胞は一度失われると再生されず、ヘッドホン難聴を治療することはできません。できるのは、内耳に負担を掛け過ぎないように指導することのみ。 「難聴の程度は聞く音の大きさ、聞く時間、個人差で決まります。それを減らすしかありません。そうするには、音を小さくする、聞く時間を少なくする。時々耳を休めるといったことが大事です」。若者が難聴の危機にあると注意喚起されていますが、「どれくらいの若者が難聴になっているのか、正確な数字はありません」。