なぜジャマイカに大勝したUー22代表メンバーはミーティングでの森保監督提案を拒否したのか?
28分には安部も派手な競演の仲間入りを果たす。自ら獲得したPKを相手キーパーに弾かれながらも成功させ、出場3試合目でU-22代表としての初ゴールを決めた「10番」は試合後の取材エリアで、セットプレーから奪った先制点に何よりも相好を崩した。 「めちゃくちゃ引いた相手だとなかなか点を取れないことがあるので、その意味でもセットプレーで点を取れたのは強みだし、非常によかったと思う。あのような高い位置でボールを奪えたら、相手もファウルをすることが多くなるので」 9月の北中米遠征以来の招集となったU-22代表で、安部は24日から長崎市内で行われてきたトレーニングキャンプを通じて「いまは攻撃のことよりも、守備のことを考えている」と公言してきた。バルセロナで実践されている前線からの激しく、連動した守備を日本へ還元するべく、紅白戦を含めた練習中や選手だけで開催されたミーティングで率先して音頭を取ってきた。 一人では何もできない。ビジョンを共有して、ピッチ上の全員が同じベクトルを描かなければ、逆に相手にスペースを与える諸刃の剣になりかねない。その意味では狙い通りだったのではないか。こう問われた安部は「別にはまっていないですよ」と、意外な言葉を紡ぎ出した。 「何十回と剥がされていますからね。それでも、あの距離感ならばたとえ一人が剥がされても、次がすぐにアタックできる。ミーティングではどのように守備をするのか、ということよりも、イレギュラーが発生したときや、あるいは上手くいかなかったときの対応の仕方を何度も話し合いました。試合中は上手くいかないことの方がほとんどなので。守備でも攻撃でも、90分間を通せば何十個もミスがありましたけど、11人プラス、スタッフの指示でカバーできたことがすごくよかった」 ミーティングでは森保一監督から「前半の15分くらいまでは激しくいって、その後はちょっと様子を見てはどうか」と提案された。しかし、11月のU-22コロンビア代表戦でプレッシャーをまともに受け、攻守ともに後塵を拝した苦い経験が、出場した前田や中山の脳裏には色濃く刻まれていた。