生野菜サラダを食べるとき「要注意」なドレッシングの組み合わせとは?
みなさんは野菜をたっぷり食べていますか? そう聞くと、「もっと食べたほうがいいとはわかっているけれど、なかなか難しくて…」と、やや申し訳なさそうに答えてくれる人がほとんどです。なかには「意識して食べているから大丈夫!」と、自信たっぷりに返事をしてくれる人もいますが、よくよく聞いてみると「野菜を食べたつもり」になっているだけで、実際には足りていないという人は珍しくありません。特に、生野菜サラダをたくさん食べている人によく聞くと、食べ方を間違えているため実際はほとんど栄養になっていないケースがよくあります。女子栄養大学で食生活について研究している林芙美准教授の監修の『間違いだらけの「野菜」の食べ方』から、身体に最大限の栄養を取り入れられる食べ方をご紹介します。 ● 「生野菜サラダ×ノンオイルドレッシング」の 意外な落とし穴 野菜をとると聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは、生野菜サラダを食べることではないでしょうか。健康と美容のために、生野菜サラダにノンオイルドレッシングをかけて食べるのを習慣にしている人もいるかもしれません。 野菜を食べるよう心がけ、そのうえドレッシングによる脂質のとりすぎにも気を配っているのは、とてもすばらしいことです。ただ、生野菜サラダにノンオイルドレッシングという組み合わせには、意外な落とし穴があります。 まず、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは脂溶性で、脂質と一緒にとることで吸収率がアップするという性質があります。つまり、生野菜サラダ×ノンオイルドレッシングという組み合わせだと、β-カロテンを効率よく吸収できない可能性があるのです。栄養素の摂取効率という観点では、パーフェクトな組み合わせとはいえません。
もう一つ、ノンオイルタイプのドレッシングを使うときに気をつけてほしいのが食塩のとりすぎです。通常の分離液状タイプとノンオイルタイプの和風ドレッシングの大さじ1杯あたりのエネルギー、脂質、食塩相当量は次の通りです。 ・和風ドレッシング 分離液状タイプ (大さじ1) エネルギー27kcal 脂質2.2g 食塩相当量0.5g ・和風ドレッシング ノンオイルタイプ(大さじ1) エネルギー12kcal 脂質0g 食塩相当量1.1g 通常の分離液状タイプのドレッシングに比べると、ノンオイルタイプはエネルギーと脂質はたしかに少ないのですが、その分食塩相当量が多くなっています。 厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、私たちは1日に摂取する食塩のうち、約67%をドレッシングをはじめとする調味料からとっています。食塩の過剰摂取は生活習慣病のもとです。野菜をおいしく、たくさん食べて健康維持をしようとしていても、食塩をとりすぎてからだを悪くしては元も子もありません。 なるべく脂質をとりたくないという気持ちは理解できますが、ノンオイルタイプのドレッシングが必ずしも健康にベストな選択とはいえないことに注意してください。もちろん、ノンオイルドレッシングを使うことが悪いわけではなく、他の調味料と同様、かけすぎに注意すれば問題ありません。 ● 生野菜は細胞壁を 壊すつもりでよく噛む 生野菜サラダを食べるとき、注意してほしいことがあります。食べ物に含まれる栄養素は、食べ物を構成する細胞のなかに閉じ込められています。肉や魚といった動物の細胞は、細胞膜に包まれています。 一方、野菜の細胞は細胞膜の外側にさらに細胞壁があります。しかも、この細胞壁は非常に強固で、生で食べた場合は細胞壁の一部しか破壊できず、中の栄養素を効率よく摂取できません。生野菜サラダばかりで野菜をとっていると、意外に栄養素がとれていない可能性もあるのです。 野菜の細胞壁を壊す方法は大きく二つあります。一つは加熱です。野菜を加熱すると細胞壁がやわらかくなって壊れやすくなります。また、かさが減って量もたくさん食べることができます。