日本は「多様性を受け入れない」? NYで暮らす「駐夫」が感じたアメリカとの違い
人種のるつぼではなく、人種のモザイク
ニューヨークが多人種からなるのをたとえるときに、メルティング・ポット(Melting Pot)という表現がよく使われます。それぞれの文化が溶け合い、そこから新たな価値観が生まれてくるといったイメージで、そこには肯定的な意味合いも含まれているでしょう。 その一方で、「人種のモザイク」という言い方もされます。さまざまな人種や多様な価値観が共存するが、本質的なところでは決して交わることがないといったニュアンスです。 どちらを強く感じるかといえば、そのときどきによるでしょう。
2023年の10月に、イスラム組織であるハマスがイスラエルを襲撃。ハマスによって誘拐された人の写真を掲載したポスターが、ニューヨークの街の至るところに貼られていました。 このポスターは、イスラエルの芸術家によるものですが、一方で、かえって戦争を誘発するといった批判があったり、ポスターをはがした人が反イスラエルだと非難されたりと物議を醸していました。
イスラエルによるガザ攻撃に対する反発が強まると、親イスラエル、親パレスチナの双方によるデモが。また、日本でも報道されているように全米各地の大学で学生運動があり、その様子を見かけました。 また、6月2日には、毎年行われているイスラエル文化を祝うパレードがあったのですが、多くの警察官による厳戒態勢のなかで行われました。 あらゆる人種、あらゆる価値観の人が混在し、何が正しく、何が間違っているのかは人それぞれ。やはり言葉や文化の壁を乗り越えるのは、そう簡単ではないでしょう。 日本は比較的、同質性が強い国だといわれています。それが時として、多様性を受け入れないとして、非難されることがあります。しかし、それは果たして非難されることなのでしょうか。 日本人の秩序正しさや、治安の良さなどといった美点も、そこに起因していることがあるかと思います。同質性が強いということ自体も、多様性のひとつ。そういった考え方もあるでしょう。
ユキ