モーガン・プラスシックス 詳細データテスト 操縦性はクラシックとモダンの中庸 侮りがたい動力性能
快適性/静粛性 ★★★★★☆☆☆☆☆
モーガンの愛好家ならば、星5つという評価に反論があるだろう。古き佳きブリティッシュロードスターとはこういうものだというかもしれない。しかし、BMW Z4やポルシェ718ボクスターから乗り換えたユーザーなら。プラスシックスの快適性に衝撃を受けるはずだ。 以前より出し入れしやすくなったとはいえ、やはりフードは扱いづらい。キャッチが必ずきちんと並ぶことはなく、たたみ方も折り目が決められてしまっている。これを見ると、シンプルで超ユーザー思いなマツダ・ロードスターのフードのありがたみを痛感する。 ファブリックも薄く、ロードノイズや風切り音が盛大に侵入してくる。113km/hでの室内騒音は、風の強い日だったにもかかわらず、オープンにしたほうがマシだったほどだ。 サイドスクリーンは取り外し式だが、取り付けていても隙間風は吹き込み、豪雨に遭えば防水性の怪しさも露呈する。エアコンは窓の曇りを十分に防いでくれて、ヒーターは強力だが、送風口はセンターコンソールにふたつだけで、左手は温めてくれるが、右手は隙間風にさらされて熱を奪われる。 そうはいうものの、高速での乗り心地やシートはおおむね快適で、少なくともルーフやヒーターがあり、オプションでオーディオも装着できる。アリエル・アトムやケータハムのように、長距離ツーリングや日常使いでひどく我慢を強いられることはない。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
モーガンは少量生産のスポーツカー専業メーカーで、クルマは手作りされている。2023年の製造台数はおよそ700台で、約30%がプラスシックスだった。 そのため、本体価格が競合車より割高な9万390ポンド(約1726万円)からという値付けになるのもやむを得ない。しかし、オプションを一切つけない個体はまず存在しない。テスト車は典型的なスペックと言えるもので、10万9960ポンド(約2100万円)だった。 ちなみに、同じエンジンのBMW Z4なら、6万ポンド(約1146万円)を超えることはまずないが、ポルシェ718ボクスターGTS4.0にオプションを追加すればすぐに9万ポンド(約1719万円)くらいになる。 データはないものの、モーガンは高いリセールも期待できそう。新車から4年経過しても、7万ポンド(約1337万円)程度の残価は見込める。そうは言っても、デポジットも最終支払額も大きいのだが。 燃費性能は、パフォーマンスを考えれば優秀と言っていい。性能テスト前までの数値は13.0km/Lで、むしろ43Lという燃料タンク容量が、航続距離を制限する要因となっている。 ニッチなクルマだけに、思いがけない欠点には目をつぶらなければならないだろう。しかし、実績あるコンポーネンツも多いので、それほどトラブルに悩まされることはないはずだ。またテスト車は、いかなるコンディションでも自信をもたらしてくれるようなソリッド感を備えていた。