国産ミカンジュースに注目 オレンジ果汁不足が追い風
前年と比べ2倍も ふるさと納税で人気
輸入果汁を使ったオレンジジュースの不足と値上げを受け、ミカンなど国産かんきつジュースの需要が高まっている。通常の2倍売り上げるスーパーもあるなど店頭の売れ行きは好調で、ふるさと納税での人気も急上昇している。果汁の国産シェア奪還へ追い風が吹いている格好で、国産果汁を使った商品開発も活発になってきた。 関東の大手スーパーによると、5月前半の国産ミカン100%ジュースの一部商品の販売点数が、「前年同期比で2倍近くに増えた」。別の大手スーパーも、国産かんきつジュース類の売り上げは軒並み伸びており、「5月上中旬の販売点数は多い商品で前年同期比2倍となった」。 人気の背景にあるのが、主産国ブラジルでの不作などに伴う、輸入オレンジ果汁の不足・高騰だ。国内メーカーによるオレンジジュースの販売休止も相次ぐ。ポンジュースを製造・販売するえひめ飲料(松山市)によると、「国産かんきつ果汁を使った飲料を取り扱いたいという問い合わせが徐々に増えてきた」という。 ふるさと納税の返礼品としても国産ミカンジュースは注目を集める。ポータルサイトを運営するさとふる(東京都中央区)によると、3、4月の国産ミカン・オレンジジュースを返礼品とした寄付件数は、前年同期比の1・6倍以上に増えた。 佐賀県吉野ケ里町の3、4月のみかんジュース「サンレイ みかん100」を返礼品に指定した寄付件数は同30倍に増加。町は「異例の伸び」と驚く。
和歌山ミカン 100%の新商品
国産果汁の新商品も目立ってきた。JA全農子会社の協同乳業は27日、和歌山県産ミカンの果汁を100%使った「メイトー×ニッポンエール 和歌山県産果汁100%みかん」を6月4日に発売すると発表した。市場に出回らない果実を原料に使い、農家の所得安定につなげる。450ミリリットル入り224円で、南九州・沖縄地区を除くファミリーマートで販売する。 国産かんきつジュース人気に対し、国内飲料メーカーからは「新規取引先の注文をこれ以上受けると安定供給が難しくなってしまうかもしれない」といった懸念の声も出ている。国産シェア奪還に向け、需要の高まりに供給が追い付くかが今後の課題となる。(永井陵)
日本農業新聞