やっぱり永遠はないじゃないですか――EXILE HIROが語るコロナ禍334公演中止の乗り越え方、そして「引き際」
みんな元気であれば、どうなっても取り返せる
その後のLDHの動きは早かった。3月には、東京都医師会、順天堂医院、聖路加病院の専門家を含めた6人で構成される「LDH新型コロナウイルス感染症対策専門家チーム」を設置して、判断を仰いだ。 「2月の時点で、『これまでとは違うな』と察知して、専門家の方々に意見を聞いたら、『夏から再開できるとは絶対思わないほうがいいですよ』とシビアな意見をいただいたので、様々なことを想定しましたし、これからのLDHのエンタテインメントを何パターンもシミュレーションしました」 334公演も中止するなかで、HIROが後ろ向きにならずに済んだのは、過去の経験があったからだという。 「もともとEXILEをスタートした時は、すごく小さな事務所で、生活するのもやっと、全身全霊、常に全力投球で一か八か人生かけて生きていましたから。そして、たくさんの人に助けられて、今のLDHがあるので。ピンチのときの切り替えはもともと早いんです。どんなピンチに陥っても『このなかでどうやって食っていくか』を考えるんですよね、性格的に。緊急事態宣言でこの先どうなるかわからないところもありましたけど、みんな元気であれば、最悪どうなっても何年後かには取り返せると信じていたので。メンバーのみんなも、普通の『会社』と『所属』というよりも仲間意識が強いので、今回のピンチでさらにEXILE TRIBE全体の精神的な強さは増しましたね」
緊急事態宣言下でも、HIROは毎日メンバーにLINEを送っていたという。LDHもリモートワークになり、家で子どもと過ごす時間も増えた。家にいたからこそ生まれた学びもあった。 「ふだんはゆっくり観られる時間もないので、Netflix、Apple TVなど、配信系の作品をずっと観て、好きな韓国映画も、1日2~3本ぐらい見ていましたね。そして、常に感じる感覚を自分たちの具体的なアイデアに繋げて、未来をイメージしての繰り返しでした。あと、子どもといる時間が長くなると、新たなエンタテインメントのインスピレーションを受けることだらけなんです。ふだんはあまり『アンパンマン』や戦隊モノの仕組みのすごさに気づけないじゃないですか。でも、実はひとつの子ども向けコンテンツにも、多くの戦略があり、様々なストーリーの中で、そこに夢があって、わかりやすく子どもたちが元気になる。そしてビジネスになっているという……。自粛期間はふだんゆっくり考えることができなかったことまで視野を広げることができました。」