赤楚衛二「父の言葉に背中を押され役者の道へ。『チェリまほ』が転機、海外にも興味が。30歳の抱負は〈年相応の男〉に見られること」
〈発売中の『婦人公論』4月号から記事を先出し!〉 2020年に放送された主演ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』で注目を集め、22年の連続テレビ小説『舞いあがれ!』でヒロインの相手役を演じ、幅広い世代から人気急上昇中の赤楚衛二さん。23年は『ペンディングトレイン―8時23分、明日君と』『こっち向いてよ向井くん』とメインキャストとしての出演が続きました。演じた人物が実在するかのように思わせてしまう表現力を持つ赤楚衛二さんの素顔は。本日4月11日から放送開始の主演ドラマ『Re:リベンジ―欲望の果てに―』では、新たな役柄への挑戦となるそうで――。(撮影:宅間國博 構成:上田恵子) 【写真】真剣な眼差しの赤楚さん * * * * * * * ◆2つの作品で心身を鍛えられた この3月で30歳になりました。20代、特に仕事に関しては「後悔なく頑張った」という感覚です。 20代最後の年は、ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日君と』『こっち向いてよ向井くん』と、ありがたいことに出演作が続きました。 静岡の樹海で撮影した『ペンディング~』では、4ヵ月間の過酷なロケで肉体を使い、『~向井くん』では、台本7~10ページに及ぶ会話劇で脳みそを使い……。(笑) とはいえ、どちらも本当に素敵なドラマで、「やってよかった!」と心から思いますし、あの現場を経験したからこそ心身が鍛えられた。どちらも間違いなく僕を強くしてくれた作品です。
◆先のことは決めず、流れるように生きる 子どもの頃は、ものすごくわんぱくな少年でした。好奇心が抑えられず、思い立ったら即行動。「ここから飛び降りたら、どうなるんだろう?」と、階段の一番上からジャンプして、案の定ケガをしたり(笑)。小中学校時代は、しょっちゅう親や先生に叱られていました。 そんな〈やんちゃ〉な性格が変わったのは、映画好きの家族に喜んでほしくて役者を目指し、名古屋から上京したことがきっかけです。当時は演技のレッスンを受けても、たった1ページの台本がまともに演じられなくて。「普通に歩いて」と言われているのに、緊張で右手と右足が同時に出てしまったり……。 お芝居が下手すぎて厳しく指導され、子どもの頃のアグレッシブなパワーは100%消滅(笑)。理想の自分と現実とのギャップを目の当たりにして、自分のことが嫌いになったりもしました。 でも、コロナ禍で自身とじっくり向き合う時間ができたとき、あがいたところで僕は僕でしかないな、と気づいて。ありのままを受け入れて、流れるように生きていこうと思ったんです。 昔はカナダの俳優ライアン・ゴズリングに憧れていた時期もあれば、我を貫き通す職人さんのような役者になりたいとか、ただかっこいい大人になりたいと思ったこともありましたが、どれも僕には無理なので(笑)。 今はあまり先のことを決めず、自分らしくいることを大事にしたい。そして、歩いてきた道を振り返ったときに、「これが自分の人生なんだな」と納得できたらいいなと思っています。 2020年に出演したドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称・チェリまほ)も、大きな転機になりました。この作品は国内だけではなく、海外にまで広がった。 日本のお芝居が世界に届くことを肌で感じましたし、国内で観てくださる方々はもちろん、海外にも意識を向けなくてはいけないんだなと。それからは、いつも心の片隅で「世界の皆さんに」と思いながら演じるようになりました。
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