裏金質問はNG…知事は指示否定、責任は? 規制でないと強弁から一転謝罪、記者が見た山梨県の「ドタバタ劇」
報道各社の話を総合すると、インタビューが実施された2月5~15日、県の担当者による要請が日に日に強まっていく様子も浮き彫りになった。記者クラブは一連の対応を問題視し、21日に長崎知事と広報部門責任者の小林徹地域ブランド・広聴広報統括官の2人宛てに抗議文を提出。「県の意に沿わない報道に圧力をかけた」「質問規制は異例で到底受け入れられない」と批判した。 ▽取材規制でなく「調整提案」…県の強弁にあ然 2月27日、山梨県の回答文書を読み、あ然とした。県はインタビューの時間的制約から、県政以外の内容を長崎知事の会見で尋ねるよう「調整を提案した」と主張。「規制は到底あり得ない」と反論した上で、記者クラブと「行き違いが起きないよう、意思疎通に努める」とした。 つまり取材活動の規制でなく「調整の提案」だったのに、記者クラブとのコミュニケーション不足から「行き違い」が生じただけ―。回答文書から、そう言わんばかりの県の姿勢がうかがえた。
翌28日、長崎氏は担当部局への指示の有無を記者団に問われ「なかった」と明言。県の対応も「問題なかった」として擁護した。この日の県議会本会議では、定例会見で質問制限を一切行っていないとし、インタビューは「付加的なサービス」だとの持論を展開。報道各社に「趣旨が伝わっておらず誠に遺憾だ」と開き直ってみせた。 県は規制しようとした事実を認めず、詭弁を弄する姿勢を改めなかった。記者クラブは看過できないとして、3月5日に再度抗議。県の回答は「一方的な決め付けで事実誤認だ」と非難し、認識を改めるよう求めた。 ▽一転謝罪で幕引きか、知事は職員の忖度示唆 1週間後の3月12日。山梨県が5日の回答内容を一転させ、報道各社に謝罪した。広報部門責任者の小林氏の名前が記された文書で、原因に関し「当方の見識不足に端を発した」と明記。一連の対応を「前例のない深刻なもの」と捉え「認識を新たにし、深く反省する」とした。