泥沼雨天強行で変わった流れ。屈辱のCS下克上を許した金本阪神5つの誤算
一方、打線もウィーランドから7安打を奪いながらも7回1点と攻略できなかった。誤算と言えば誤算だ。 糸井、福留らの主軸にはナックルカーブを軸にした変化球主体、1、2番と下位打線は、動くストレート系のボールで抑え込むという“緩急”で手玉に取られた。 特に初球のボールの選択に工夫があり打線が分断された。5回、代打の植田がライト線二塁打で出塁、無死二塁としたが、後続が沈黙。6回に福留の二塁打、大山のタイムリーで1点を返すが、そこまでだった。 前出の池田さんは、「ウィーランドはナックルカーブが良くて、うまく緩急をつけていたが、阪神の打者の狙い球が見えなかった。ベンチの指示はどうだったのか。こういうケースは、チームで絞り球を決めて揺さぶっていかねばならなかったはすだ」と、疑問を呈する。 もうひとつの誤算は、外国人のロジャースを“CS戦力外”にして帰国させてしまっていたこと。金本監督の意向を汲んだフロントの判断だったが、序盤で大量失点する、この日のようなパターンのゲームでは、代打にロジャースのような一発で大量得点を奪う可能性のある外国人は残しておくべきだった。 最も大きな誤算は、15日に雨天強行された泥沼雨中決戦での敗戦だったのかもしれない。 この日の試合後、金本監督は、あの雨の敗戦で流れが変わったのか?と質問されて、「うん、まあ雨を理由にすると言い訳になるし。そうじゃなくて、むこうの打線が調子をあげてきたなとは感じた」と答え、「時の運、勝負運もある、勝ち運というか。結果がすべてなので。残念で悔しいが…大山はいいところで打ってくれた」と続けた。 初戦は2-0の完封リレー。結果的に横浜DeNA打線を目覚めさせてしまったのは、あの泥んこ試合。だが、振り返れば、あの試合、阪神は、早めの継投で、先手、先手を打ったことが裏目に出た。金本監督は、「いつ終わるかわからないから」と、勝負を焦った。「こんな状態で始めた以上9回までやるのが基本」(セ・リーグ統括)という雨中強行されたゲームの特殊性を理解していなかったのである。 一方、横浜DeNAのラミレス監督は、選手を残していた。ベンチ入りの投手人数も阪神より一人多かった。 あの泥沼決戦の裏には、流れを失うようなベンチの見えないミスもあったのである。もっと言えば、試合開始前に、フロントが、金本監督に“こういう形での強行ですので、途中では試合は止めにくく、よほどのことがない限り9回までやりますよ”というような助言をしていたのだろうか。CSファーストステージを俯瞰で見れば、阪神が抱える組織としての問題点が敗因とも言える。