WBSS決まった4強。異例の棄権TKO勝利した5階級王者ドネアは井上尚弥の最強ライバルなのか?
WBA世界バンタム級王者の井上尚弥(25、大橋)が優勝を狙うWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)バンタム級トーナメントの注目カードは珍しい決着となった。大会第1シードでWBA世界同級スーパー王者のライアン・バーネット(26、英国)と元5階級王者、ノニト・ドネア(35、フィリピン)との1回戦が3日(日本時間4日)英国のグラスゴーで行われたが、試合途中に腰を痛めたバーネットが4回終了後に棄権を申し出るという超異例の結末で、ドネアがTKO勝利、7年ぶりにバンタム級での新王者となった。 バンタム級に2階級階級を落とし体格で勝るドネアは序盤からプレッシャーをかけてコーナーに追いつめてパンチを集めるシーンを随所に見せて手数で上回ったが決定打はない。一方のバーネットも、L字ガードの構えから左ジャブを的確に当てて強烈な右のストレートを打ち終わりにヒットさせるなどして応戦。両者は一進一退のラウンドを重ねた。だが、4回途中にバーネットは右ストレートを放った直後に、突然、右の腰を押さえ苦痛に顔をゆがめてキャンバスに片膝をついてしまった。レフリーはダウンとみなしてカウントした。 「バンタム級で明らかに大柄なドネアは機会あるごとに対戦相手に向かって進み、過去7試合の勝利でKO勝ちのなかったバーネットは、センス良くコンビネーションを着弾させながらも後退を余儀なくされているようだった」と、この試合を報じた英国メディアのBBCによると、バーネットは、すでに3回終了時点で、セコンドのアダム・ブース・トレーナーに「(体を)動かせない。パンチを出せない」と異常を訴えていたという。 バーネットは4回を持ちこたえたが、棄権を決断。リング上で酸素吸入を受け、歩けないため担架に乗せられて会場を後にしている。 リング誌によると、ドネアは試合後、「バーネットは素晴らしいファイターだ。このようになることは望んでいなかったが、勝ちは勝ちだ。自分自身の力強さを感じるし、体も大きいからパワーもあった。年齢はただの数字で全く問題ない」とのコメントを残した。 さてドネアが勝ち上がったことでWBSSのベスト4が出揃い、決勝で井上vsドネアのドリームカードが実現する可能性が出てきた。 井上もWBSSに参戦したライバルの中で誰と戦いたいか?と聞かれて「ドネア」の名前を挙げていた。4年前に大橋ジムで直接アドバイスを受けたこともあるリスペクトしているボクサーで、もし、この顔合わせが決勝で実現すれば、新旧の怪物対決として注目が集まることは間違いない。 さっそく海外メディアも、このカードの実現可能性について報道した。ボクシング専門サイトのBoxingnews24は、試合結果を伝える記事の中で、ドネアが決勝に進み井上と対戦すると予測。 「ドネアが、次のゾラニ・テテに勝利すれば、決勝戦に進み、おそらくは井上尚弥と顔を合わせることになるだろう」と記した。