「若手に寄り添う」がうまい中堅教員は何が違うか 即「ジャッジを下す」はNG、共に悩み乗り越えて
2~3年目の若手さんへの寄り添い方
2年目の研究授業、何をすればいいの?と悩んでいる若手さんもいるかもしれません。 校内研究などの場合には、あらかじめ研究主題が設定されていますが、それとは別に個人の目標を決めておくようにします。研究授業の成功の秘訣は、目標を「たった一つだけ」に絞ることです。そうするだけで授業を組み立てやすくなり、研究発表後のフィードバックも受けやすくなります。 2~3年目の研究授業は、「新しい授業スタイルの提案」というよりも、「若手教員の授業力向上」を重視している場合が多いものです。そのため、「新しさ」や「カッコよさ」を意識する必要はありません。ミドルさんから「シンプル・イズ・ザ・ベストだよ。自分の授業の課題と向き合えれば、それでいいんだから」と伝えてあげるとよいでしょう。 心がけたいのは、研究授業当日だけでなく、研究授業までの過程を含めてフィードバックすることです。そうすれば、若手さんに「研究授業は、そのときだけパフォーマンスを発揮できればよいわけではなく、それまでの学習の積み重ねが大切なんだ」ということを、肌で感じてもらうことができるでしょう。 さて、多くの若手さんが恐れているであろうことの1つに学級崩壊があります。少しでもその兆候が見え始めると、あれよあれよという間に若手さんの元気がなくなっていきます。 理想は早期発見&早期対応ですが、若手さんの手に負えないようであれば、迷わずチームで対応します。もうこの時点ですでに若手さんは十分申し訳なさと、うしろめたさを感じているはずなので、「なぜ、そうなってしまったの?」などとさらに追い詰めるようなことを言うのは避けなければなりません。 伝えるべきは「大丈夫だよ、みんなで支えるからね」であり、つまずいた状態から再び立ち上がれるようにするきっかけをつくることです。 学級は、ある日突然崩壊するわけではありません。必ず何らかの兆候があります。例えば、教室にごみが落ちていることが増えたり、ロッカーの上が散らかってきたり、保健室に行く子や授業中にトイレに行く子が増えたりするといった兆候です。クラスでこのような様子が見られたとき、ミドルさんが取る行動は次の2つのパターンに分かれます。 ・兆候を口で伝えるだけで傍観する ・兆候を伝えると同時に自分も動く 前者のミドルさんは「先生のクラスのロッカー、最近散らかっているでしょ。あれ、まずいよ。早めに何とかしないと」と伝えるだけです。内心「あとは任せたよ。だってもう初任者じゃないんだから、それくらい自分で考えて何とかしてよ」というスタンスです。担任自身による成長に期待しているのでしょうが、若手さんは救われません。 一方で、後者のミドルさんは次のように伝えて若手さんを支えようとします。「先生のクラスのロッカー、最近散らかっていて気になるんだ。学級が荒れ始める前に、早めに対処しておいたほうがいいから、今日クラスの子どもたちに話をしておいたよ。先生からも明日話をしてみたら?」。 若手さんが、安心して次の一歩を踏み出せるようにしてあげましょう。