【解説】原発語れない空気、払拭なるか? エネルギー自給率1割、電気代と電力逼迫どうする?
◆日立はすでにアメリカのGEとの合弁会社で革新炉を開発中
また、ともに会見した経団連・東原敏昭副会長(日立製作所会長)は、日立は米国GEとの合弁会社で、すでにアメリカで次世代革新炉の高速炉の開発を行っていると明かした。 既存の原発の使用済み核燃料が、人体に影響しないレベルの放射線量に低減するまでには約10万年かかるとされているが、東原氏は高速炉を利用すれば300年程に短くでき、また発生する“核のごみ”の体積も、今の7分の1ほどに抑えられる可能性があることを話した。 東原氏は、“こうしたことが国民に伝わるようにディスカッションされていけば、原発に対する国民の理解も進んでいくのではないか”との考えを示し、第7次エネルギー基本計画に経団連として意見していくとの姿勢を示した。
政府が前面に出なければ進まない原子力についてはこれまで、経済同友会が指摘したように「語れない空気」が社会全体を覆って来た。「政治家は票を失うから避けたいテーマなんだよ」と経済界でもささやかれて来た。 経団連副会長の橋本英二氏(日本製鉄会長)は、そうした政府の及び腰な態度について「(再稼働について)『自治体の了解を取らなきゃいけないですよ』『避難計画はできていますか?』と政府がルールを決めておいて、自ら(政府)は前面に出ない、とこういうことでは話が進まない」と指摘し、政府のリーダーシップを求めた。 原発をめぐっては、2019年当時に経団連会長を務めていた中西宏明氏(故人)が「一般公開で討論すべき」との考えを示していたものの、「反対派が感情論で訴え、建設的な議論が見通せない」などの反対論が出たせいか、頓挫した過去がある。 しかし、自前のエネルギーが乏しく、電力確保に膨大な費用をかけている日本が、豊かに生きていくためには今後どうすべきなのか?国民はどうしたいのか? 国民一人ひとりが、適切な情報をもとに関心を持つことが、政治家に「具体的な計画」の実行を促すことにつながるのではないだろうか。
第7次エネルギー基本計画に向けた議論は、動画配信され、資料も公開されている。 https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/