【解説】原発語れない空気、払拭なるか? エネルギー自給率1割、電気代と電力逼迫どうする?
◆経済界、そろって「原発政策具体化」を迫る
こうした中、8月2日に開かれた「第7次エネルギー基本計画」策定に向けた議論を行う「総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会」で、経済3団体はそろって原発再稼働はもとより、次世代革新炉についての方針決定の重要性を主張した。 経団連は脱炭素と経済成長の両立のためには、原発再稼働など原子力の最大限の活用が不可欠で、国が前面に立って取り組むべきと要望。その上で、原発のリプレースや新増設がなければ、2040年代から原発の設備容量が急減するというデータを示し、(立地選定から稼働までの)リードタイムが20年程度必要となるため、「次世代革新炉の建設具体化を急ぐ必要がある」と促した。 政府が「将来の目標導入量を示すなど、中長期的な政策上の位置づけを明確化することに期待を示している。一方、経済同友会は、現状認識として「2030年の温室効果ガス削減目標(2013年度比46%削減)の実現は厳しい状況」だと指摘。現状と正面から向き合って検証し、政府の意思を示すことが重要だとした。 「競争力のあるエネルギーを得られなければ、わが国は衰退の道を辿ることになる」とし、原発の再稼働・リプレース・新設・核燃料サイクルなどを含めた政策立案実行は「待ったなし」の状況だと迫った。特に次世代革新炉の立地選定は最も困難なプロセスで、国が前面に立って行うべきとしている。
◆「晴耕雨読の世界に戻る覚悟があればいいが…」経団連十倉会長
これに先立ち、経団連は長野県軽井沢で日本経済をリードする大企業経営者らが一堂に会し、集中討議する夏季セミナーを開催。駆けつけた岸田首相に、原発再稼働や新増設、リプレースの計画の具体化を急ぐよう求める要望を盛り込んだ提言を手交した。 その後の会見に臨んだ経団連・十倉雅和会長(住友化学会長)は、「どうしてもやはり原発は必要で、原発再稼働は急がなければならない」と強調した。脱炭素電源が原発と再エネである中で、「晴耕雨読の世界に戻る覚悟があればいい」が、再エネは自然条件で出力が変動する電源であることを指摘。 また、「日本の地形的にも非常に厳しい」と述べ、再エネ拡大には限界があるとの認識を示した。さらに原発についても「再稼働だけではすまない」と述べ、核廃棄物や核燃料サイクル、廃棄物を抑えるための革新炉など、全体での長期スパンでの議論を加速化する必要があるとの考えを示した。