米大手投資ファンド、いい意味での"悪ノリ"動画で1年の締めくくり。「これで市場は暴落だ」(海外)
世界有数の資産運用会社であるブラックストーンのグリーティング動画は、年末年始におけるウォール街の風物詩となりつつある。 【全画像をみる】米大手投資ファンド、いい意味での"悪ノリ"動画で1年の締めくくり。「これで市場は暴落だ」 今年は全世界の社員だけでなく、投資先、ライバル企業のCEOなども巻き込んで、大盛りあがり。 オリジナルソングと多くのリアリティショーのパロディで構成された、いい意味での「悪ノリ」動画は必見だ。 大手投資会社ブラックストーン(Blackstone)は12月19日、毎年恒例のグリーティング動画を公開した。今年は200人の従業員と2人のゲストが出演し、カントリーミュージックとラインダンスという非常に意欲的な作品だ。 今年で7回目となるブラックストーンのグリーティング動画は、ウォール街では必見だ。同社によると、昨年の動画は幅広く注目を集め、さまざまなプラットフォームで800万人が視聴したという。グリーティング動画は、運用資産1兆ドル(約150兆円)を誇るブラックストーンの優れた投資スキルを喧伝する一方、同社で働く人々をネタにしたパロディ仕立てになっている。 今年はNBCのシチュエーション・コメディドラマ「ジ・オフィス(The Office)」でよくある場面をリアリティ番組のパロディにして、テレビドラマ「リアル・ハウスワイブス・オブ・ニューヨーク(The Real Housewives of New York City)」に出演したファッションデザイナーのジェナ・ライオンズも短時間出演している。また、パーソナルケア製品メーカーのスーパーグープ(Supergoop)やサンドイッチ・チェーンのジャージー・マイクス(Jersey Mike's)といったブラックストーンの投資先企業も登場する。 動画は、ブラックストーンの社長兼最高経営責任者(CEO)のジョン・グレイ氏が、役員たちをテイラースイフトのようなツアーに無理やり行かせるという昨年の動画の反省から始まる。昨年は、MTVの人気番組「ビハインド・ザ・ミュージック(Behind the Music)」のようなパロディで、「オルタナティブの時代」というタイトルの「ドン引き」ソングを歌わされた役員たちが不評だったことを嘆く。テクノロジー・インべスティングのグローバル共同ヘッド兼ブラックストーン・グロースのヘッドであるジョン・コーンゴールド氏は、「(あの動画の後)だれも口をきいてくれなくなった。CEO達も、リミテッド・パートナーの投資家たちも、母でさえも」とぼやく。 ブラックストーンと名前が似ている、世界最大の機関投資家ブラックロック(BlackRock)のラリー・フィンクCEOも動画に登場し、「信じられるかい? ウチと、あの会社を混同する人がいるなんて!」と鼻白む。 次に、ブラックストーンの総務部長で一連のホリデー動画の立案者の一人、クリスティーン・アンダーソン氏が、次はリアリティショーに決まりだ、と言う。 今回の動画は、ブラックストーンの高い評判を「リアル・ハウスワイブス」や「バチュラー(The Bachelor )」といった人気リアリティシリーズのパロディに仕立てた。プライベート・エクイティのヘッド、ジョー・バラッタ氏は、えせテレビ番組「ザ・リアル・エグゼクティブ・オブ・パーク・アベニュー(The Real Executives of Park Avenue)」に出演し「我こそはプライベート・エクイティ最大の資産」と大ぼらを吹く。 海外拠点も巻き込んだ。ロンドン支店は「ラブ・アイランド・ブラックストーン」として登場し、東京チームはばかばかしい「人間テトリス」というクイズ番組に参加する。 場面は再びマンハッタンの本社に戻る。社長秘書のローリー・カールソン氏が、プライベート・ウェルス・グループ米国リテールセールスのヘッド、ジョー・ローラー氏の顔面にマティーニをぶっかける。ローリーは「ごめんなさい、ジョー。何かドラマチックなことをやれと言われて」と釈明する。そこにビデオチームのヘッドであるジェイ・ギルスピー氏がリアリティショーのプロデューサー役で現れ、もう一杯マティーニをかけるよう要求する。 最も笑えるのは、シュワルツマン会長が、コメディドラマ「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ(Keeping Up with the Kardashians)」のケンダル・ジェニファーのようにキュウリを不器用に切るシーンだろう。 再び会議室のシーン。社長は役員たちを前に、会社が間違った方向に進んでいると主張する。だれも社長のばかばかしいアイデアに付き合おうとしないのがこの動画シリーズのお約束で、社長は最後に我に返る。ところが、またしても突拍子もないことを言い出す──「ブラックストーンに必要なのはカントリーだ」と。 すると、役員たちがオフィスで、ミッドタウンの道路の真ん中で、さらには機械仕掛けの雄牛の背に乗って、同社の2作目のオリジナルソングを歌い踊り出す。 シュワルツマン会長も一緒に「君なら築ける。ブラックストーンと一緒に」と、今年初めに公開した同社初のテレビCMのフレーズを歌いながら動画は終わる。 ※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
Alex Nicoll