学者らが官邸の記者会申し入れで緊急声明(全文1)政府は直ちに撤回を
日本体育大学の清水雅彦教授のコメント
司会:それでは次に角田由紀子弁護士から、申し訳ございませんでした。順番を間違えました。清水雅彦日本体育大学教授、お願いします。 清水:今日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。日本体育大学で憲法を教えている清水と申します。メディア関係者の方に申し上げるまでもありませんけれども、憲法21条、表現の自由と称しますが、21条にははっきり書いておりません、報道の自由、取材の自由もこの21条から保障される。これは憲法学の常識ですし、最高裁も認めています。そして表現するには知らないと表現できませんから、21条から知る権利が保障される。これも憲法学の常識であります。 そしてメディアの取材の自由っていうのは国民の知る権利に応えたものであるわけです。ということは上村室長のこのような文章っていうのはメディアに対する取材を抑圧することになってしまう。これは東京新聞の一記者の問題ではなく、メディア全体が脅かされる問題ですし、そして国民には知る権利がある、それも脅かされるという意味では、国民全体の問題である。一記者の問題ではなく、メディア全体、あるいは国民がこういう文書に対してやはりおかしいと考えなければいけない。当然、私は憲法研究者ですから、今回のこの取り組みに賛同いたしました。 やはりこういう文書を出すというのは、この間の安倍政権の特徴だと思うんですけども、秘密保護法を制定する、公文書を改ざんする、自衛隊の日報なんかを隠す。要するに安倍政権がこの間やってきたのは、情報をきちんと流さない、ゆがめる、隠す、こういうことを平気でやってきた。やはりこれは、結局は民主主義が危機にひんすることになってしまうと思います。 それはやはり、安倍政権がこういうことをできるっていうのは、私からするとトップの首相が憲法をよく理解されていない。安倍首相は政治学科とはいえ、法学部出身でありますけれども、この間何度も憲法は国の未来、理想を語るものだというふうにいってきています。確かに憲法前文、理想についても触れておりますが、憲法は市民革命後にこれまで散々悪さをしてきた国家、これを縛るために作ったのが憲法であって、そこで憲法については国家権力制限規範という言い方をします。すなわち憲法っていうのは理想を語るのが出発点ではないわけです。 そういう市民革命後にできた憲法の下で、国民に対しては自由権というものを保障しました。これは表現の自由もありますけれども、自由権については国家からの自由という言い方をしますけれども、国家権力が余計なことをしないことによって保障されるわけです。そういう意味ではやはりこういう文書、この間の安倍政権のやってきたことは、余計なことをすることによって取材の自由や知る権利を侵害してしまう。やはり憲法が分かってない人物がトップである政権によって、こういうことが起きているっていうことが大変危機的な状況だと思います。 そういう意味ではやはり、憲法学の観点からすれば、このような室長の文書を撤回しなければいけませんし、室長として、私は資格がないと思いますし、当然、これは背後には菅官房長官がいるわけですけども、あの記者会見における記者を小ばかにしたような態度を含めて、私はあの人は官房長官としての資格はないと思いますし、憲法が分かってない首相自体にやはり問題がある。やはりこれは国民自身が表現の自由、危機に対しておかしいと考えなければいけませんし、憲法研究者としてもそういう立場から今回賛同しました。以上です。