学者らが官邸の記者会申し入れで緊急声明(全文1)政府は直ちに撤回を
作家の盛田隆二氏による緊急声明読み上げ
司会:それでは作家の盛田隆二氏より緊急声明を読み上げます。 盛田:今、梓澤弁護士から声明が発表されましたけれども、重なりますが読み上げます。官邸による取材・報道自由侵害に抗議する緊急声明。2019年2月19日。上村秀紀内閣官房総理大臣官邸報道室長は、2018年12月28日、内閣記者会宛に記者会見における菅義偉官房長官に対する東京新聞の特定の記者の質問について事実誤認があるとした文書を示し、問題意識の共有を求めた。 この文書は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事に関するものであり、この件については政府と野党の認識が鋭く対立している。野党による国会質問や政府の答弁を見れば、政府側の認識に誤りがないなどと断定することはできない。政府の一方的認識を前提として、質問者から寄せられた赤土が広がっているという事実認識を事実誤認と断定し、説明を免れ、質問を抑圧することは許されない。これは取材の自由、報道の自由への侵害である。 また、事実認識を内閣記者会に共有したいなどとすることは自由で批判的な質問をする記者の官房長官記者会見からの排除にもつながりかねない。内閣官房長官の記者会見は日々2回開催されている。それは国防・外交・災害・国際紛争など、国民の将来を左右する重大事を取り上げる場であり、知る権利は最大限尊重されなければならない。西村康稔官房副長官は、報道室長からは質問権を制約したり、知る権利を制限したりする意図はまったくないと報告を受けていると発言したが、本件文書の与える影響は深刻なものであって看過できない。 表現の自由、知る権利に関心を寄せる私たちはこの問題について深刻な憂慮を表明するとともに、政府に対しこの文書を直ちに撤回するように要求する。以上です。
立教大学の服部孝章名誉教授のコメント
司会:それでは呼び掛け人の方からコメントをお願いします。まず服部孝章立教大学名誉教授からお願いします。 服部:服部です。今、立教で50歳以上の男女、70~80人に授業をしていたり、あるいは中央大学法学部でマスコミと法のことを授業しています。今日の、今2人の話の中にあった緊急声明と、梓澤先生の熱のこもった内容で、それはそのとおりだと思うんですね。それにちょっと付け加えて、僕が今回、梓澤先生からいろんな形でやろうよといったときに思ったのは、なんで12月28日にあって、2月の頭まで沈黙を守っていたのかと。つまりわれわれ社会も沈黙は守っていたし、それ以上にあそこの記者会に入っている人たちが所属するメディアがなんで沈黙した、たぶんここにたくさんいると思うんですね。 つまりあそこの内閣記者会に入れるのは、全国紙5紙とそれから共同通信と時事通信、それからキー局。そのほぼ16社ほどの人たちの、ある特権ですよね。望月さん、新聞社として北海道新聞と中日新聞。中日新聞には東京新聞入っていますけど、それと西日本。そういう中で望月さんは入っているわけですね。 そういう中で何も、望月さんだけが浮いちゃったみたく見えちゃうんだけれども、ほかの会社はどうしているのか、あるいは東京新聞のほかの人はどうしているのかということをすごい感じたんですね。どこにもそのことが出てこない。朝日が2月の4日の日の社説に確かに書いていましたし。確か朝日は1月の25日に谷川俊太郎の詩を載せて、新聞は言葉だと、新聞は沈黙しないという、すごく一面にびっちり書いた詩を載っけてたんで、朝日はそれを裏切ってないなと思うのですけれども、ただ社説で書けばいいっていうわけではなくて、なぜあそこの記者会全体で抗議しなかったのかということがとても僕は不可思議で、この内閣記者会に対する安倍政権のさまざまな、これはいろんな内閣での閣議決定とかなんかを、きのう、今日の段階でも出てきましたけど、かなり官邸の指導がたくさん入っていたみたいなんですけど、そういう中で沈黙していることについては、本当にこれはしんどい問題だなと思うのですね。 梓澤先生がおっしゃった以上に、僕はメディア全体の問題として本当にどうなのかという。だから来年というか、今年の4月から中央でまた授業が始まるんですけど、開口一番、この問題でなぜ沈黙したのかということを聞くと、今の学生諸君はそれでいいんじゃない? 別に問題ないんじゃないかっていうのがすごく多いと思うんですね。秋になってやる50代、60代のおじさんたちと、授業をやっていくと、結構われわれが学生だった時代のような形で、すごく熱のある質問が繰り返されるということになると思うのですが、ただ今、社会が全然怒ってないからいいと思うんですけど、今回の問題で本当に新聞の5紙はものすごく発行部数減ってもいいんじゃないか、これは読者がどっと減ってもいいし、テレビのニュースも見る人がどっと減ってもいいんじゃないかと思えるような体たらくな反応だったと思うんですよ。 つまりはそういうところで、もう沈黙を守っているんですよ。つまり政権側が期待している問題っていうのが、どんどん忖度によって実現していっていると。ここにきて、きのう発売の『週刊ポスト』も書いていますけれども、NHK内部での部局、文化、福祉のところをばらばらにして、ほかのところに入れて人間を使いやすくしていくっていう、70年の部を解体していくっていうようなことが出てて、結構今、NHK内部でも問題になっていて、文章そのものはすごく少ないんですけども、今出ていると。どんどん安倍さんにとって、不都合なものが消えていって、今回のような要望が出てきて、その要望に全然メディアがまったく反応を示さなかったということがこれからの大きな問題になるだろうし、あまり期待は持てないなんていうのがすごく、今のところそれを感じております。以上です。