「外国人でも学費は無料」「子供のために貯金はしない」日本が学ぶべき「ある国」の圧倒的な教育制度
「終わりのない成長を目指し続ける資本主義体制はもう限界ではないか」 そんな思いを世界中の人々が抱えるなか、現実問題として地球温暖化が「資本主義など唯一永続可能な経済体制足りえない」ことを残酷なまでに示している。しかしその一方で、現状を追認するでも諦観を示すでもなく、夢物語でない現実に即したビジョンを示せる論者はいまだに現れない。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 本連載では「新自由主義の権化」に経済学を学び、20年以上経済のリアルを追いかけてきた記者が、海外の著名なパイオニアたちと共に資本主義の「教義」を問い直した『世界の賢人と語る「資本主義の先」』(井手壮平著)より抜粋して、「現実的な方策」をお届けする。 『世界の賢人と語る「資本主義の先」』連載第17回 『小泉純一郎の「民間でできることは民間に」は正しかったのか…「利用者を無視する」日本の民間企業のヒドすぎる実態』より続く
最も成功した社会主義国?
日本社会を表す言葉として人口に膾炙したものの一つに、「最も成功した社会主義国」というものがある。 これだけ格差拡大が意識され、子どもの貧困も深刻な問題となった今となっては、日本を社会主義的だと考える人は減っており、もはや死語と言って差し支えないかもしれない。 それでもたまに、子どもの運動会の徒競走に順位を付けないような平等主義や、政府による民間の経済活動への過度な干渉(レバ刺しの提供を法律で禁止し、客の求めに応じて提供した焼肉店店主を逮捕する国など、本物の社会主義国でもないかもしれない)を指して、今でも用いられることもある。
日本の財政の在り方
ただ、国の財政の在り方を見る限り、日本は社会主義的とは程遠い。 まず、国民全体の所得の中からどれだけが税金と社会保険料で取られているかを示す国民負担率を見てみよう。日本は47・9パーセント(2020年度)で、ネットでは江戸時代の苛烈な年貢の取り立てになぞらえて「五公五民」(5割が税金として取られる)というキーワードが話題となった。 ただし実はこの水準は、国際比較ではそれほど高くはない。先進7ヵ国(G7)で比較すると、国民負担率が最も高いのはフランス(69・9パーセント)で、イタリア(60・8パーセント)、ドイツ(54・0パーセント)、日本と続く。 日本より低いのは、イギリス、カナダ(ともに46・0パーセント)、アメリカ(32・3パーセント)で、日本はG7中ちょうど真ん中となる。なお、国民負担率にはGDPに対する税・社会保険料で算出する方法もあるが、これだと日本はアメリカに次ぐ低さとなる(データはいずれも2020年)。