和歌山地裁＝和歌山市

　和歌山県田辺市の資産家で、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた会社経営者野崎幸助さん＝当時（77）＝が急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、殺人と覚醒剤取締法違反（使用）罪に問われた元妻の須藤早貴被告（28）側が、公判で無罪を主張する方針であることが、関係者への取材で分かった。 　裁判員裁判の初公判は12日、和歌山地裁（福島恵子裁判長）で開かれる。 　起訴状によると、須藤被告は2018年5月24日、殺意を持って何らかの方法により野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ殺害したなどとされる。 　県警は、野崎さんに覚醒剤を常習的に使用していた形跡がない一方、須藤被告が事件前、覚醒剤の密売人と接触していたほか、野崎さんが覚醒剤を摂取したとみられる時間帯に2人だけだったなどとして、21年に同被告を逮捕した。捜査関係者によると、同被告は捜査段階では黙秘していたという。 　直接的な証拠は乏しいとされ、検察側は捜査で積み重ねた状況証拠を踏まえて有罪を立証する見通し。一方、弁護側は起訴内容を全面的に争い、無罪を主張する方針という。 　公判は11月18日に論告と弁論、被告人の最終陳述が行われて結審し、12月12日に判決が言い渡される予定。