デジタル性暴力とは?若者の4人に1人が小児性被害の経験者の時代にできること #令和の子
Q3:デジタル性暴力でねらわれるのは女の子ばかり?
A3:未成年の被害者のうち、3人にひとりは男の子です。 今西先生:小児科医として多くの親御さんと接する中で、お子さんが息子さんか娘さんかによって、親御さんが持つ性被害への認識に差があると感じます。しかしながら、小児性加害者の多くは、被害者の「幼児性」に重点をおいており、私が実際に会って話した加害者の中には「毛が生えていなければ男の子・女の子どっちでもよかった」と言った者もいました。「男性は性犯罪への意識の低いので、父親と一緒にいる子のほうがねらいやすい」と考えている者もいます。「うちは息子だから大丈夫」「自分は男だから心配ない」という認識は改めなければいけません。
Q4:子どもにスマホを持たせないほうがいいの?
A4:デジタル機器そのものが犯罪被害の原因ではありません。 今西先生:大人はもちろん、子どもにとっても、現代の生活にスマホやタブレットは欠かせません。学校の宿題などで必然的に触れる機会のほか、習い事への送迎時に親子間での連絡に使用したり、きょうだいが勉強に集中できるように30分だけ動画を観て待っててほしい......など、家族みんなで生活するうえで、デジタル機器は強力な助っ人にもなってくれるものです。機器の利用やネットの使用を全面禁止にして遠ざけるよりも、デジタル機器がどのように悪用されるのかを把握し、その使い方を子どもと一緒に学ぶことが大事だと思います。
Q5:性被害を防ぐためには、性教育は何歳から必要?
A5:諸外国における性教育の指針となっている「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」で、包括的性教育の開始年齢は5歳とされています。 今西先生:子ども自身が集団生活にある程度慣れ、男の子・女の子という性の違いを認識できるようになるのがそのくらいの年齢なので、0~1歳など、あまりに早くから取り組む必要はないでしょう。 欧米諸国には包括的性教育の一環として「水を一緒に飲まない?」というプログラムがあります。子どもが水の入ったコップを持って教室内を歩き回り、クラスメイトに「お水を一緒に飲まない?」と話しかけていきます。話しかけられた子は「いいよ」「いまは飲みたくない」などそれぞれ自由に答えてよく、「YES/NO」をはっきり伝えることができると、先生が「自分の意志を表明するって大事だね」と褒めてくれる、というものです。 誰かと何かをするときに、積極的にしたいという意志があることが「同意」で、それがセックスを含めた性的行為であれば「性的同意」です。私は当時4歳の娘を通わせる保育園を見学したときに初めてこのプログラムを目の当たりにしたのですが、幼い子でも「“NO”と言ってもいいんだ」ということがわかる授業に大変感心しました。日本では、こうした後々の具体的な性教育の前段階であり根幹となる教育がまだまだ足りていないと感じます。