犯罪心理学者も厳選! 冷や汗がヤバい「シリアルキラー映画」6本
【4本目】殺人映画に見る国民性とは? ★ヨシキさん厳選!!!『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』(2005年) 【あらすじ】残虐な殺人一家を逮捕するべく、100人を超える警官隊が彼らを急襲。激しい銃撃戦の末、母親が逮捕され、兄と妹は逃亡。殺人を楽しみながら逃げ続ける一家を保安官は執拗に追跡する デジタル配信中 発売元・販売元:株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (C)2005 Cinelamda Internationale Filmproduktionsgesellschaft mbh & Co. 1 Beteiligungs-KG. All Rights Reserved. 高橋 次は『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』です。ロブ・ゾンビ監督はチャールズ・マンソン事件(*2)が大好きで、そのマンソン・ファミリー愛が炸裂(さくれつ)した一本だと思います。劇中に「俺は悪魔だ。悪魔の仕事をするために来たんだ」というセリフがありますが、これはマンソン事件の実行犯のひとりテックス・ワトソンが実際に言った言葉です。 この映画の殺人一家は極悪非道で、殺人は彼らにとって「お楽しみ」以上のものではありません。しかしそんな究極の悪党一家が、なぜかだんだんヒロイックに見えてくるところに本作の醍醐味(だいごみ)があります。 悲劇的なエンディングに向かって突っ込んでいく、70年代ニューシネマのアウトローたちと重なってくるんです。とんでもない殺人者を主人公にしても、アウトロー賛歌は成り立つということを見せた映画だと思います。 (*2)1969年にロサンゼルスで発生した連続殺人事件。ヒッピーコミューンの指導者チャールズ・マンソンとその信者によって、人気女優のシャロン・テートをはじめ7人が殺害された 桐生 日本の今の閉塞(へいそく)感を考えると、この映画のようにカタルシスを含みながらヒーロー感を抱くようなものが作られないのも、お国柄なのかなと思いました。なぜ日本ではこういう映画が作られにくいのでしょうか? 高橋 そうですね、80年代の途中ぐらいまではそれなりにあったと思いますが、スプラッター映画がなかなか日本ではメジャーになりづらいということはあります。アメリカで『ハロウィン』とか『13日の金曜日』のような低予算のスラッシャー映画がトップ10に入ったりするのと比べるとだいぶ状況が違います。かつては「金髪が血まみれになるのと違って、黒髪が血まみれになると陰惨になる」なんてことが言われたりもしました。 それは冗談としても、因習や人間関係が持つ湿度の高さは関係しているのかなと思います。アメリカ的な、個人主義的で独立独歩の殺人者が想像しにくいというか。