静岡県知事選、自民陣営に難題続出「うまずして」上川外相発言、リニア湧水…異例の「公約保留」で激戦の行方は?
■ SPたちが囲んだ決起集会 川勝平太氏の後継者を決める静岡県知事選は、自民党推薦で元副知事・総務官僚の大村慎一氏(60)と、立憲民主党、国民民主党推薦で元衆院議員・浜松市長の鈴木康友氏(66)が横一線で競り合っている模様だ。 【写真】「記憶にございます」記憶に残る去り際を見せた元衆院議員も静岡ゆかり 各メディアの情勢調査で激戦が報じられている2氏にフォーカスし、両陣営の動きを紹介したい。 19日に開かれた大村氏の総決起集会には、応援弁士として、地元・静岡1区選出の上川陽子外務大臣が駆けつけた。 だが、注目を集めたのは、前日18日の演説会で不適切発言をした上川氏がどのように対応するかということだった。 上川氏の登場で、身辺警護をするSPが数多く取り囲んだ。上川氏の周囲だけでなく、会場のいたるところに警備に当たる警察官が配置された。 まるで、上川氏を中心とした厳戒下での決起集会と言ってもおかしくなかった。
■ 「女性は産む機械」発言も静岡ゆかりの人物だった 上川氏は18日、静岡市内の演説会で、「(自民系知事を)わたしたち女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言した。 さらに、「うみの苦しみは本当にすごい。でも生まれてくる未来の静岡県、いまの静岡県を考えると、わたしたちは手を緩めてはいけない」などと語っていた。 女性たちの力で自民系知事の誕生を後押ししてほしい――。 自らの支持者にそう訴える中で「出産の苦しみ」をたとえに使ったに過ぎないわけだが、共同通信が『うまずして何が女性か』の見出しで記事を配信。本文には「子どもをうまない女性は女性ではないと受け取られかねない不適切な発言だ」という野党幹部のコメントも盛り込まれていた。静岡新聞、中日新聞がそのまま記事を掲載した。 総決起集会を終えたあと、報道陣の取材に対して、上川氏は「真意と違う」などと発言そのものを撤回した。 かつて、柳沢伯夫元厚労大臣(自民)が「女性は子どもを産みだす機械」との発言をし、やはりマスコミが大問題にしたことがあった。柳沢氏は磐田市、掛川市などを中心とする静岡3区選出の衆院議員だった。 静岡県では、この「女性は産む機械」発言が強く連想されてしまったからこそ、上川氏の「真意」を「誤解」した県民のほうが多かったのかもしれない。