静岡県知事選、自民陣営に難題続出「うまずして」上川外相発言、リニア湧水…異例の「公約保留」で激戦の行方は?
■ 不運が続く自民陣営 そもそも、派閥の裏金疑惑で内閣支持率が低迷する中で、自民党県連は政党色を前面に出さない選挙戦を展開している。 最後の選挙サンデーには、党大物や人気弁士らの静岡入りがあるのが通例だが、陣営はすべて断った。そして、首相候補に急浮上し、女性外相として世界を飛び回る地元出身の上川氏一本に絞ったのだった。 それが結果的には、不適切発言の騒ぎで、上川氏が話題をさらう形になった。 翌日20日の新聞各紙は、上川氏の発言撤回とともに、知事選の電話世論調査結果が紙面を飾った。 地元紙の静岡新聞は「鈴木氏を大村氏が激しく追い上げる」と、鈴木氏の一歩リードを伝えた。当然、今回の上川氏の不適切発言騒動などは世論調査結果には含まれない。 静岡新聞の電話調査サンプルは1041人だから、どこまで正確な事実を伝えているのかわからない。実際のところ、鈴木氏と大村氏とががっぷり四つに組んだ戦いと見て間違いないだろう。新知事の座をどちらが手にするのかは、投開票日まで見通せない状況である。 ■ 裏金、パパ活不倫…問題直撃 大村氏は、川勝氏が4月2日に知事職の辞意表明をしてから間髪入れずに出馬表明し、選挙活動に入った。 静岡経済界、自民党静岡市議団などが大村氏の支持を表明、自民党県連は推薦を決定して、23日に党本部に上申した。 その23日、自民党を離党した人物がいた。安倍派座長で、派閥の裏金疑惑で離党勧告処分を受けた塩谷立・元文科大臣である。 塩谷氏は静岡8区(浜松市中心部)を地盤とする。上川氏のあとを受けて、2021年5月から自民党県連会長を務めていた。 塩谷氏は党の離党勧告処分に対して再審請求を行ったが却下され、離党を余儀なくされた。 さらに、安倍派の裏金疑惑の際に「暴露発言」をした宮沢博行・元防衛副大臣がパパ活不倫問題で週刊誌報道されることになり、辞職表明した。24日に辞職が認められた宮沢氏は、磐田、掛川、袋井など静岡3区を選挙区としていた。 テレビ、新聞は2人の醜聞を繰り返し報道した。「静岡自民」にとって、イメージを悪化させる不運が続いている状況にある。