静岡県知事選、自民陣営に難題続出「うまずして」上川外相発言、リニア湧水…異例の「公約保留」で激戦の行方は?
■ リニア問題、大村・鈴木両氏はどうする? 一方の鈴木氏は、大村氏から約1週間遅れ、出馬表明した。共産党を除く、連合静岡、立憲民主、国民民主など野党連合を結集した選挙戦を展開している。 また、鈴木氏と関係の深い鈴木修・スズキ自動車相談役を筆頭に浜松経済界が一丸となって押している。 選挙戦における最大の焦点ともされているリニア問題をめぐっては、両者とも「リニア推進」と「水資源保全、南アルプス保全」の両立を主張している。 ただ、その内容は全く違うようだ。 大村氏は、選挙戦スタートの第一声で、リニア問題を早期に解決させるために「5つの約束」を掲げた。 「流域の声を反映させる」「大井川の水と環境を守る」「国の関与を明確にする」「静岡県のメリットを引き出す」の4つの約束を掲げ、5つ目が「(その4つの約束に対して)1年以内に結果を出す」である。 1日も早いリニア問題の解決は、川勝氏に対抗してきた静岡自民の主張でもある。その方針を明確に掲げたわけだが、ここでも予想外の出来事が起きた。 選挙戦のただ中、丹羽俊介JR東海社長が岐阜県瑞浪市のリニアトンネル工事の問題を取り上げたのだった。 今年2月頃から工事中のトンネル内に湧水が発生、現在も毎秒20リットルの湧水が出ている。その影響で、地域のため池や井戸で水位の低下が確認され、JR東海はトンネル掘削工事を一時中断し、対応に当たると説明した。 17日から工事を中断して、地質や地下水を確認する調査ボーリングを6月から開始することになった。 静岡県の場合、リニアトンネル工事でJR東海は大井川の湧水が毎秒約2トン減少すると試算して、その対応策を発表した。 毎秒2トンは、瑞浪市の100倍にも当たる膨大な水量である。その影響について、2018年夏から6年近くも協議してきた。 川勝氏の退場とともに、13日に開かれた県地質構造・水資源専門部会はJR東海の主張を丸のみする方向を示した。しかし、今回の瑞浪市の問題を受けて、そんなに簡単に丸のみしてよいのかと問われるのは間違いない。