静岡県知事選、自民陣営に難題続出「うまずして」上川外相発言、リニア湧水…異例の「公約保留」で激戦の行方は?
■ 大村氏「1年以内に結果」を保留、鈴木氏「まずちゃんと理解する」 リニア工事による湧水流出問題を受け、大村氏は「1年以内に結果を出す」という公約を保留にすると述べたという。 2月頃からリニアトンネル内の湧水発生で地域の地下水位の低下などが起きていたのに、JR東海からの連絡が遅れたことを問題にしたようだ。 選挙戦のスタートで思い切りよく「1年以内に結果を出す」と打ち出したが、その公約を選挙期間中に保留にするという結果になってしまった。 一方の鈴木氏は、リニア問題について、知事就任後にちゃんと理解した上でさまざまな対応に取り組むとしている。 一番の問題は、瑞浪市のため池や井戸で水位が低下している問題に対する岐阜県知事の対応である。川勝氏であれば、怒り心頭でさまざまな厳しい物言いをしただろう。 ところが、岐阜県の古田肇知事はいまのところ、徹底した原因究明と必要な対策を早急に進めるよう求めるコメントを発表したに過ぎない。 その背景には、JR東海が約350億円のリニア岐阜県駅を建設することがある。 つまり、リニア中間駅という地域振興策をJR東海が負担することで、岐阜県はリニア建設の円滑な推進のために全面的に支援することになっている。 この地域振興策が何よりも重要である。 知事時代、川勝氏は「静岡県にはデメリットしかない。静岡県のメリットを示せ」と何度も訴えた。それに対して、JR東海は「聞く耳」さえなかった。 静岡県のリニア問題が解決しなかった最大の理由は、「地域振興策」をJR東海から引き出すことができなかったからだ。 それで、川勝氏はリニア問題を放り投げて辞めてしまったのである。 大村氏は5つの約束の中に、「静岡県のメリットを引き出す」を挙げた。新聞報道によると、その「メリット」として、JR在来線や大井川鉄道の利活用を挙げていたが、あまり具体的ではない。 対する鈴木氏は、出馬会見で、「静岡県のメリット」として「ひかりの本数を現在の1時間に1本から3本にする」と具体的な数字を挙げていた。 あらゆる方角からの逆風に抗う自民陣営。選挙戦を制し、国政でも攻勢を強めたい野党陣営。静岡県知事選の結末は、選挙戦最終盤に入った現在までまったく見えてこない。 ■静岡県知事選立候補者(届け出順) 横山 正文(よこやま まさふみ) 56 諸新 政治団体代表 森 大介(もり だいすけ) 55 共新 党県委員長 鈴木 康友(すずき やすとも) 66 無新 (元)浜松市長=立国 大村 慎一(おおむら しんいち) 60 無新 (元)副知事=自 村上 猛(むらかみ たけし) 73 無新 アパート経営 浜中 都己(はまなか さとみ) 62 無新 コンサル会社社長
小林 一哉