汗のニオイ悩みが気になるなら朝にシャワーを浴びる。皮膚科が教える正しい汗対策
◇朝シャワーで寝ているあいだの汗やニオイをリセット 制汗剤の使用以外でも、簡単にできて効果の大きい対策がある。 「汗のニオイ悩みに有効なのは、朝にシャワーを浴びることなんです。日本人の多くは夜に風呂に入る習慣がありますが、朝にシャワーを浴びることで、寝ているあいだにかいた汗やニオイが一度リセットされます。それから制汗剤を塗ることで、6時間ほどニオイを抑えることができます。 その際、アポクリン汗をかきやすい体質の方は、ただ水で流すだけでなく、ボディーソープを使って皮脂を洗い流すことが大切です。おすすめは、手ぬぐいなど、目の細やかな布でこすり洗いすること。タオルより肌を傷つけにくく、皮脂をしっかりと落とすことができます」 「ワキガ」など強いニオイ悩みには、化学繊維を避け、綿100%のインナーを身に着けることも効果的な対策のひとつだという。 「強いニオイの元となる、アポクリン汗に含まれる『皮脂』は化学繊維と結合しやすく、吸着したニオイは洗濯しても落ちないです。特に、速乾・保温など機能性の高いインナーには、石油由来の化学繊維であるポリエステル・ポリウレタン・ナイロンが使われていることが多い。 化学繊維に結合した皮脂は黄ばみとなって表れるので、白いインナーだと気づいて捨てますよね。でも、最近は黒やグレーのインナーも増え、黄ばみに気づきににくい。結果として長く使用され、余計にニオイを発してしまうこともあります。 気づかず衣類にニオイを蓄積することがないよう、綿100%のインナーがおすすめです。逆に、汗の量のみが特に気になる場合には、速乾の機能性インナーが良いと思います」 制汗剤の使用や朝のシャワー、綿100%のインナーの着用などセルフケアをしたうえで、それでも悩みが解決しない場合には、皮膚科の受診を検討したい。 「保険適用で、汗の悩みに効く薬を処方することができます。汗の量を軽減する飲み薬や塗り薬、ボディシート状のものなど種類も多様です。診療料が2,000円ほど、薬代が1か月2,500円程度で、処方のハードルはそこまで高くない。あまり気負わず相談にきてほしいです」 ◇猛暑に向けて準備しておくことは? 近年はさらに気温が高くなっている。猛暑日が続く夏に向け、特に気をつけるべき対策についても教えてもらった。 「今のうちから、毎日の入浴やサウナや運動などで“良い汗”をかきやすい体づくりをしておくことです。最近は空調が整っていて、汗をかくことに慣れていない人も多いです。 体が慣れていないのに、体温調整のために急に汗をかくと、熱中症になりやすいんです。汗は悩みの原因にもなるのでケアは必要ですが、しっかりと“汗をかく”ことも体調管理の面で重要であることをお伝えしたいです。 また、汗で失われやすい栄養分を補給することも忘れずに。汗を大量にかいた際には、水ではなくナトリウム・カリウム・マグネシウムなど、ミネラルが含まれているスポーツドリンクで水分補給してください。水溶性のビタミンであるビタミンB1も汗で流れやすいため、積極的に摂取してください」 B1が欠乏すると糖質の代謝が悪くなるため、エネルギー不足による疲労感を感じることもある。豚肉に多く含まれ、ネギ類と一緒に食べると吸収しやすい。食事で摂取したい栄養素のひとつだ。 汗の悩みには「セルフケア」を取り入れつつ、「今から汗をかく習慣」を身につけて、猛暑の夏に備えたい。 (取材:三郎丸 彩華)
NewsCrunch編集部