ブラジルでF1の放映権争いが勃発。大手テレビ局2社が来季2025年の契約を主張
F1はブラジルでの大規模な“メディア戦争”の中心となっている。 これは2社の大手テレビ局が、2025年のグランプリの完全放映権を獲得できると考えているために起こっている争いであり、状況はここ数週間で大幅に悪化している。F1の商業権保有者は2社の争いがエスカレートしている状況についてコメントしていない一方で、現在の放映権保有者である『Band TV』は、2025末まで有効な当初の契約を履行すると主張している。 【写真】古巣の記念撮影に飛び入り参加したカルロス・サインツ この混乱が最初に現れたのは5月中旬のことだ。Band TVのF1中継スポンサーの1社が撤退したことから、彼らがFOMへの支払いに400万ドル(約6億1100万円)の不足をきたしたことで初めて明らかになった。2025年末までに全額を支払う資金が同社にないのではないかと懸念したF1は、南米最大のテレビ局である『TV Globo』に連絡を取り、来季からの放映権のオファーを求めた。 そのTV Globoは、以前からグリッド上にブラジル人ドライバーがいなければ、F1への参入にはまったく関心がないと述べてきた。しかし、過去3年間のBand TVによる広範な報道により、F1の視聴者数は最近目覚ましく増加しており、TV Globoにとってこのスポーツはより魅力的なものとなっている。 Band TVとF1の間で契約解除の合意が成立したと信じたGlobo側はオファーを行い、商業権保有者はそれを受け入れた。彼らは数週間前に2025年からグランプリ中継を再開するとブラジルのメディアにリークし、現地にいるはずの2名の記者の名前が地元紙に大きく掲載された。 このことを知ったBand TVは、F1側に契約解除のための低額のオファーを出したが、F1からの返答には「来年の契約で支払われるべき金額の90パーセントを受け取ることを望んでいる」ことが明確に述べられていた。多額の損失に直面し、またTV Globoの時期尚早な発表に憤慨したBand TVの経営陣はこれにより方針を一転し、同社が2025年も放送権を保持することを明確にする声明を発表した。 さらにBand TVは、「権利を放棄するつもりがない」ことを一層明確にするため、今週火曜日に来年のF1中継について複数のスポンサーとの交渉を開始したことを明らかにし、FOMとの拘束力のある契約を結んでいることから、来年末までそれを履行すると主張した。 現在F1を運営する会社は、今後数カ月間に対処しなければならない大きな問題を抱えている。ステファノ・ドメニカリCEOとって一番の得策は、この事態を法廷に持ち込むことだが、法廷に持ち込めば複数の放送局との契約内容が完全に開示されることになる。ドメニカリは前任者たちと同様に、契約条項をできる限り秘密にしておきたいと考えている。 [オートスポーツweb 2024年10月31日]