箱根駅伝 青学大・原夫婦舞い 原晋監督「これほど幸せなことはない」 妻の美穂さん「すごく貴重な経験」 『あいたいね大作戦』めでたく大団円
第101回東京箱根間往復大学駅伝競走復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場-東京・大手町=109.6キロ)青学大が10時間41分19秒の大会新記録で2年連続8度目の総合優勝を飾った。原晋監督(57)は選手たちの手で8度宙を舞い、「これほど幸せなことはない」と万感の思いを語った。就任21年目の指揮官は「原メソッド」と呼ばれる指導法で選手を鍛え上げ、寮母も務める妻の美穂さん(57)の献身的なサポートも受けながら、常勝軍団を作り上げた。 【写真】個性派集団まとめた9区の青学大・田中悠登、卒業後は地元「福井放送」のアナウンサー 大手町のゴールで歓喜の瞬間を待つ原監督は笑顔で満ちあふれていた。就任21年目で8度目の総合優勝を達成。手塩にかけて育てた部員たちの手で8度、宙に舞った。 「学生たちに胴上げしてもらって、私も3月で58歳になるが、こんな58歳はいない。これほど幸せなことはない」 時代の変化や学生たちに合わせて変化させる指導法は「原メソッド」と呼ばれる。正月の箱根を軸に、春はトラック、夏は走り込みなど、1年間を4期に分けた強化サイクルで選手を鍛え上げた。歴代最強の布陣をそろえた今大会。「今年勝てなかったら、『原メソッド』を根本から変えないといけないと思っていた」と不退転の決意で臨み、前回大会のチームを上回る大会新記録で2度目の連覇を達成した。 部員62人と原監督夫婦の「チーム青学」で成し遂げた優勝だった。昨年秋、東京・町田市内の寮がリフォームされた。寮母を務める妻の美穂さんが業者と2週間に1度の打ち合わせに参加し、充実した調理場や交代浴ができる風呂場など、選手ファーストの新拠点が完成。同校OBのシェフと美穂さんが栄養満点の食事を提供し、トレーナー陣が常に寮でケアを施すなど、全国屈指の厳しいトレーニングの中でも、故障を防ぐ環境が整った。 献身的なサポートで支え続けた美穂さんには、胸に秘めた思いがある。レース後に「そろそろ後任に譲らなきゃいけない時期になった」と寮母の役割をバトンタッチする考えを明かした。原監督に続いて、3度胴上げされ、「すごく貴重な経験をさせてもらった」と満面の笑みで喜んだ。 指揮官が発案した「あいたいね大作戦」は大成功。「300%。言うことはない。勝つことで多くの出会いが待っている。いろいろな出会いがこれからも待っているものだと思う」と胸を張った。
新チームは2016年度以来の大学駅伝3冠と、箱根3連覇に挑む。大学陸上界の名将は「決して狙えない布陣ではないと思っている」と力強く宣言した。(児嶋基)