マイボトル飲用が拡大 飲み物とボトルの両方で多様化 その背景は?
マイボトル飲用が拡大している。 味の素AGFに調べによると、マイボトルの家庭内の保有率は約70%で保有総本数は約1.1億本、1年以内の使用率は約73%と推計。 AGFが5万人を対象に実施した「21年~23年全飲料実績調査」では、マイボトルでの23年飲用杯数は、21年比14%増と拡大。同調査ではペットボトル(PET)や缶などのパッケージ飲料(RTD飲料)の飲用杯数も8%増と拡大しており、カップ(5%減)やグラス類(3%減)の代替として伸びている可能性がある。
マイボトルが飲まれている場所として、オフィスだけでなく家庭内でも大幅に伸長し、茶系飲料を中心に3時間以上かけて“チビだら”飲みされていることも同調査から浮き彫りになった。 このようにマイボトル飲用が拡大している背景には、持ち運びや保温・保冷できるといった機能性、PET飲料や缶飲料よりも割安な経済性、容器を繰り返し使えることによる環境意識への対応などが挙げられる。 世帯人数の減少や核家族化により、家庭内で大容量の飲料をシェアする飲み方から、家庭内でもおのおの好みの飲料を飲むパーソナル化もマイボトルの浸透を後押ししているとみられる。
マイボトルに詰める飲み物でパーソナル化の変化に対応して近年拡大しているのは、三井農林の「日東紅茶 水出しアイスティー」(水出しアイスティー)。 「水出しアイスティー」が発売開始されたのは1992年。当初は、家族でシェアして飲むファミリーユースを訴求し、座布団型の大サイズ・ティーバッグを用意して1袋で1Lサイズに対応していた。 販売動向は鳴かず飛ばずの状態だったが、2018年に転機が訪れる。ティーバッグの仕様をファミリーユースからパーソナルユースに変更し、マイボトルを意識して1袋で500mlできるようにして以降、販売動向は上昇基調にある。 2020年からはコロナ禍の巣ごもり需要を取り込みユーザーの裾野が拡大した。 三井農林の竹田一也企画本部 商品企画・マーケティング部部長は「コロナ禍で、これまで買われなかった方たちにもトライアルしていただき、裾野が広がった。最近は2ケタ伸長が続いている」と説明する。 マイボトルの普及も追い風になっている模様。 「マイボトルの普及率がここ10年くらいでかなり高まっている。私もそうしているが、冬場も室内は温かいことからマイボトルに水出しを入れて持ち歩いている。今までは季節品だったが、現在はパーソナルで通年飲まれている」との見方を示す。 パーソナル化に伴い展開している多彩なフレーバーも奏功。 「自分の好みのフレーバーをたまに変えてみるというスタイルが、フレーバーの多展開にフィットしている」とみている。 「水出しアイスティー」のラインアップは「アールグレイ」「トロピカルフルーツ」「ピーチティー&ローズヒップ」「はちみつレモン」の4品。2月26日には、これに新商品の「マスカットグルーンティー」が加わった。 飲み物としては茶系飲料が中心とされる中、自宅でのコーヒータイムが定着してきたことを受け、UCCは昨年、ホットコーヒーをマイボトルに入れておいしく持ち歩くコツを発信。公式サイトでUCCコーヒーアカデミーの村田果穂講師がマイボトルに適した抽出方法・コーヒー豆の種類・焙煎度合い・飲み切り時間を推奨している。