つんく♂楽曲のすべてに通底する「本質」とは何か?「LOVEマシーン」も「ズルい女」も根本は同じ
歌詞をよく読んでもらえたら多くの人が気づくと思うけど、どの曲でも僕は人間の本質のことしか言ってない。 表現の仕方は曲ごとに変わるけど、中身は一緒。それをちょっとうまくやれた時には「どうしてそんなに女の子の気持ちがわかるんですか」と言ってもらえる。「シングルベッド」のときは、「これは僕のテーマ曲だ」って誰もが思ってくれた。日本中のカラオケでみんなが歌ってくれた。 ■お茶の間はディテールが気になる ――「シングルベッド」でいうと、狭い部屋に置かれたシングルベッドという具体的なイメージ、そうしたディテールへの共感や親近感が大きいのでしょうか。
歌の聴き手はそう思いがちだけれど、ディテールじゃない。 ディテールは、作り手からするとむしろ簡単なんです。例えばラーメンでいうと、核になるのは出汁や麺。ディテールはナルトとかコーンとかバターとか。で、こういうときに、お茶の間はディテールが気になる。それは僕たちプロが、ディテールに目がいくように作っているからなんです。 それがプロの仕業というか、テクニックです。だから「シングルベッド」は「ベッド」という言葉に目がいくようになっているし、そこから想起される情景があるだろうと思う。
けれど重要なのは、歌詞の本質が何かということなんです。 ――作詞するときに本質としているのはどのようなものですか。 結局、人間は孤独だってことです。僕の曲は「人は孤独」という軸に対して、「孤独だよね」としんみり言うか、「いや、楽しくいこうよ」と明るく言うかのどっちかなんです。「LOVEマシーン」も「シングルベッド」も何も変わらないですよ。 「次の恋でもしてりゃ 辛くないのに」って実は前向きな言葉です。終わった恋の次を見てる。「LOVEマシーン」は日本社会がひどく落ち込んでいた時期の曲ですが、「日本の未来は(Wow Wow Wow Wow)」と笑ってごまかした。