定年退職後に再雇用が決定「厚生年金保険料をまだかける人・もうかけない人」の違いとは
厚生年金に加入すると給与手取り額も変わる
国民年金の受給資格期間を満たしている方は、厚生年金に加入する必要はありませんので、厚生年金に加入しない場合、年金保険料を支払う新たな負担はありません。 厚生年金に加入する場合、定年退職前と同じように総支給額から厚生年金保険料や健康保険料などが控除されるため、手取り額が少なくなります。 (例)東京都在住 Aさん、30万円の給与があった場合 ・協会けんぽ健康保険料 1万7730円 (11.82%を労使折半) ・厚生年金保険料 2万7450円 (18.30%を労使折半) ・その他、所得税や住民税 厚生年金に加入しない場合、厚生年金保険料を支払う必要はありませんが、健康保険に加入する必要はあります。 その保険料も自分で払う必要があります。 健康保険は ・今までの健康保険を任意継続する ・国民健康保険に加入する ・家族の扶養に入る の選択肢があります。 「(例)東京都在住 Aさん、30万円の給与があった」の場合、定年退職後は給与が下がっているため、任意継続をすると保険料は今までの倍になっていますし、国民健康保険は前年所得に連動していますので、定年退職前よりも増えているでしょう。 また、この給与の場合、家族の扶養に入れることも考えられないでしょう。
定年後も厚生年金に加入すれば将来の年金が変わる
厚生年金に加入することで、将来の年金を増やすことが出来ます。 金額を算出すると年額または月額を聞いても、大きく増えた印象はないかもしれませんが、長く働くことで、年金額は増やすことが出来ます。 増やせる年金額は、厚生年金の報酬比例部分と同じ計算式で、平成15年4月以降の加入期間として計算できます。 平均標準報酬額 × 5.481 / 1000 × 平成15年4月以降の加入期間の月数 平均標準報酬額とは、計算の基礎となる月数の月額給与と賞与の総額を平成15年4月以降の月数で割った金額ですが、それでもわかりづらいので年収で考えると理解しやすいでしょう。 先程の例の東京都にお住まいのAさんで考えます。 今まで20歳から40年間会社員を続け定年退職しましたが、60歳以降は月額30万円、ボーナスなしで働いています。 年収は、360万円で5年間(60月)働いたとしますが計算式に当てはめると、 360 万円 × 5.481 / 1000 × 5年間 = 9万8658円(年額) 年額で9万8658円なので、月額8221円の上乗せです。 年金受給額としては少ないかもしれませんが、それは厚生年金しか計算されないためです。 60歳になるまでは厚生年金に加入していた場合、厚生年金額に加え、基礎年金(国民年金)も加入します。 Aさんの場合、基礎年金部分は40年間を満たしているため、厚生年金部分しか加算されません。 しかし、Aさんにご家族がいた場合、遺族年金を受給できる時は、遺族厚生年金にも影響します。 Aさんが定年退職前に、妻が国民年金の第3号被保険者だった場合、Aさんが厚生年金に加入し続けることで、妻の国民年金保険料の払い込み負担もありません。 厚生年金に加入しない場合は、妻が60歳未満の場合は、第1号被保険者となり国民年金保険料を支払うこととなります(Aさんが65歳以降年金受給権を有するときは、妻は第3号被保険者となりません)。