アジアで敵なしの森保ジャパンは”消化試合”で何をすべきか 2025年のテーマは?
その意味では2か月前、日本代表はシミュレーションとも言えるような試合を経験した。10月にホームで1-1の引き分けに終わった、最終予選のオーストラリア戦だ。日本を分析し、固い守備を敷いてきた対戦相手を前に、日本のチャンスは乏しく、逆に76分に失点を喫してしまう。否が応でも0-1で敗れたコスタリカ戦を思い起こす展開だったが、日本は中村敬斗のゴールで、辛うじて引き分けに持ち込んだ。 まさに、あの試合。あのオーストラリア戦を勝ちに持って行く、その挑戦こそが、北中米ワールドカップ向けの対策になる。今年6月に予定されるアウェーのオーストラリア戦は、消化試合ではあるが、強化試合としても大変貴重な機会だ。あわや敗戦の冷や汗をかかされた借りも返さなければならない。 そして、この6月はホームでインドネシア戦も行われる。先月にアウェーで対戦したときも4-0で勝ったとはいえ、手強いチームだったが、次の対戦時は欧州クラブに所属する帰化選手のフィットが進み、より難しい相手に成長しているはず。すでにサウジアラビアを倒し、ポテンシャルの高さも証明済みだ。 オーストラリア、そしてインドネシア。6月の侮れない2試合は、ワールドカップ向けの強化として大事な機会になるのではないか。 もちろん、最終予選が終われば、日本は様々な国とテストマッチを組む。だが、親善試合は所詮、親善試合でしかない。本番の緊張感とは非なるものだ。たとえば日本をガチガチに分析して、怪我も厭わず戦ったり、時間を殺したり、0-0上等で戦ったり、そんなことは相手もしてこない。 一方、上記のオーストラリア戦とインドネシア戦は、相手が本気だ。ワールドカップ出場をかけた最後の真剣勝負であり、勝つためなら何でもやってくる。そういう試合で勝ち点3を挙げる経験こそ、本当の意味でワールドカップにつながる強化だ。さすがに怪我やコンディション不良を押してまでプレーする必要はないが、真剣勝負に応じる価値は充分にある。 まずは来年3月、ワールドカップ出場を決めること。そして6月の2試合を消化試合で終わらせず、本大会向けの強化を進めること。今度こそのベスト8へ向け、2025年は具体的な準備が始まる。 [文:清水英斗]