「逆さまつげ」の治し方・手術を形成外科医が解説 原因・放置のリスクとは?
まつ毛は本来、大切な目を守るためのものですが、生え方によっては逆に角膜などを傷つけてしまうこともあるそうです。そんな「逆さまつげ」について、形成外科医の中林 洋平先生(ひふみるクリニック院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
逆さまつげ(眼瞼内反症)とはどんな目の症状? 目が痛いのも逆さまつげが原因?
編集部: 「逆さまつげ」とは何ですか? 中林先生: 逆さまつげは、「眼瞼内反症」とも呼ばれ、本来であれば瞼(まぶた)の縁から前方に向かって生えているまつ毛が、何らかの原因で眼球側に向いてしまい、眼球に接触してしまっている状態を言います。 編集部: 逆さまつげになると、どんな症状が現れますか? 中林先生: まつ毛が当たると眼球を傷つけてしまうため、目の痛み、かゆみ、充血、異物感などの症状が現れます。重度の逆さまつげになると、角膜(黒目)を傷つけたり、結膜炎を引き起こしたり、視力の低下を招いたりすることがあります。 さらに、かゆみや異物感のために目を擦ることが多くなるため、眼瞼下垂を招くケースもあるのです。 編集部: 自然に治ることはあるのでしょうか? 中林先生: 逆さまつげには種類があり、加齢に伴って起こるものや、子どもに多いものなどがあります。 子どもに多いと言われている、「睫毛内反(しょうもうないはん)」という逆さまつげは、瞼の縁が眼球側に入り込んで、それに伴いまつ毛も内向きになった状態なのですが、この場合は、約9割が、10歳くらいまでに解消されていきます。 しかし、睫毛内反以外の場合の多くは、治療が必要となります。
逆さまつげの治し方 日帰りの手術が必要って本当? 埋没法と切開法は何をするの?
編集部: どんな治療法があるのですか? 中林先生: 逆さまつげの治療には、対症療法として目薬の使用やまつ毛の抜去(眼球に接触しているまつ毛を抜く治療)、まつ毛パーマなどがありますが、根本的に治すためには手術が必要です。 編集部: 手術について、詳しく教えてください。 中林先生: 手術方法は、保険が適用されるものでは「埋没法」「切開法」「下眼瞼下制筋前転法」の3つがあり、逆さまつげの種類などに応じて選択されます。逆さまつげの手術は保険適用で、日帰りで受けられます。 編集部: それぞれについて、詳しく教えてください。 中林先生: 「埋没法」は、瞼に弾力のある糸を埋め込んで、まつ毛を外側に向ける手術法です。皮膚を切開しないので、術後の腫れが少なく、ダウンタイムが短いというメリットがあります。 しかしながら、再発率がやや高く、コンタクトレンズを着脱したり、頻繁に目を擦ったりすると再び逆さまつげになってしまう可能性があります。 編集部: では「切開法」とは? 中林先生: 「切開法」は、上瞼は二重のライン、下瞼はまつげのすぐ下の皮膚を切開し、まつ毛の向きを矯正する方法です。切開を伴うため、術後、瞼が腫れて、しばらくダウンタイムが必要になります。 編集部: 「下眼瞼下制筋前転法」についても教えてください。 中林先生: こちらは下瞼の逆さまつげに対して行われる手術法で、「下眼瞼下制筋」と呼ばれる下瞼の筋肉を瞼の軟骨に縫合し、まつ毛の向きを矯正する手術法です。 これは「最も再発しにくい」というメリットがあるだけでなく、下の瞼をたるませることなくしっかり下げることが出来るため、「目がぱっちりした」と同時に喜ばれる方もいます。