AWSジャパン、「SaaS支援プログラム」を提供--ソフトウェア企業の事業計画から販路拡大まで
続いて登壇したソラコムは、AWS上に構築したIoTプラットフォームサービスをSaaSとして提供している。創業当時は東京リージョンを活用した提供をしていたが、AWSのグローバルインフラストラクチャーを活用した海外同時展開を行い、現在は1つのSIMで428キャリア/185カ国・地域でつながっている。 ヘルスケア・介護や金融、建築、製造など多種多様な業界で3万以上の顧客が同社のサービスを利用しており、特に欧米での高評価と事業拡大により海外売上比率は約4割に上るという。 同社の海外展開では「APN カスタマーエンゲージメント(ACE)プログラム」を活用してAWSとの安全なコラボレーションや共同販売を行っている。具体的には、見込み顧客の商談情報をACEポータルに登録しておくと、AWSのセールス担当者に情報が入り、共同提案ができる仕組みになっている。 またAWS Global Passportのパイロットプログラムに参加したソラコムは、同プログラムの支援を受けたほか、グローバル展開を加速するためのワークショップに参加し、海外展開の強化を図っている。 ソラコム 最高技術責任者(CTO)兼 最高経営責任者(CEO)of Americasの安川健太氏は、「AWSは創業当初から大事なテクノロジーパートナーとしてクラウドのインフラとして活用してきた。加えて、ビジネスの拡大やグローバル展開と言った意味でも非常に重要なパートナー」と語った。 最後に登壇したのは、CMS「WordPress」に関連したサービスを展開するデジタルキューブ。AWSとの出会いは2012年で、創業時に構想したWordPressの最適化ホスティングがAWSで実現できるとし、利用を開始したと代表取締役社長の小賀浩通氏は説明する。 「AWSは、従量課金モデルでインフラの初期投資が不要、運用負荷が低減されるといったところでビジネスが展開できる。これは本当にゲームチェンジャーだったし、地方にいながら少人数の会社がグローバルのテクノロジーを使ってビジネスを展開できる機会を得た」(小賀氏) 2013年には、デジタルキューブが提供するWordPress専用のAWSクラウドホスティングサービス「Amimoto AMI」をAWS Marketplaceでスモールスタートした。ある程度、自社のサービスが市場のニーズに適合していることを確認した後、SaaSプロダクトとしての提供を本格的に開始。FTRの認定も取得した。 また同社は地方の課題解決にも取り組むため、地方の課題解決に実績があるAWSパートナー企業のヘプタゴンとの合併・買収(M&A)を実施。AI・IoT技術領域へ支援の幅を拡大するとともにビジネスの地産地消に貢献した。同氏は「M&Aは、ネガティブなものではなく共創するための手段だ」と主張する。 その後、「TOKYO PRO Market」に上場した経験を生かし、地方企業の成長を支援する上場準備サービス「FinanScope」の提供を始めた。同氏は、「AWSは、課題を解決するための強力なツールであると感じている。スモールスタートで始められるというのは地方の会社にとって心強い存在」と明かした。