百条委員会は無視されるのか…斎藤元彦知事が今年最後の会見で語った「結果次第」に危惧
続く遺族への誹謗中傷…「止めて」と呼びかけない知事
そして、さらに耳を疑ったのは、斎藤知事を巡る告発をした元県民局長の遺族や県関係者に対していまだに続く誹謗中傷への対応だ。 「知事として県職員やご遺族への誹謗中傷を止めてくださいということを、なぜ言わないのか」「情報拡散に今すぐできることもあるのではないか」という指摘に対して、斎藤知事はSNSの一般論を繰り返し、これから新しく第三者機関を作って対応すると述べるだけ。県内部調査の情報が漏えいしたとの指摘もあるのに、情報の削除要請をする意向さえ示さなかった。たまらずに記者が「誹謗中傷を止めてくださいとか、今すぐ県警に相談行きますとか、そういうことができる立場なのに、なぜしないのか」と問いただすと、斎藤知事はこのように答えた。 「そういった意見があるということは受け止めますけれども、自分としては、県としても、適切な対応だという風に思っています」 だが、今まさに誹謗中傷にさらされる人たちがいるのでそれを止めるべきだという指摘は、単なる「意見」で片づけてよいものなのか。目の前で苦しむ人たちの苦しみを無視したまま、政治はできるのだろうか。 さまざまな思いが残った会見だが、何より深刻なのはこのことが継続して報じられず、その内容が黙認されていくことだと思う。兵庫県知事選挙から1か月以上が過ぎて新しいニュースも次々出てきているが、決して忘れてはいけない問題は確かに残っている。 そのことを肝に銘じて年を越したいと思う。 □西脇亨輔(にしわき・きょうすけ)1970年10月5日、千葉・八千代市生まれ。東京大法学部在学中の92年に司法試験合格。司法修習を終えた後、95年4月にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社。『ニュースステーション』『やじうま』『ワイドスクランブル』などの番組を担当した後、2007年に法務部へ異動。社内問題解決に加え社外の刑事事件も担当し、強制わいせつ罪、覚せい剤取締法違反などの事件で被告を無罪に導いた。23年3月、国際政治学者の三浦瑠麗氏を提訴した名誉毀損裁判で勝訴確定。同6月、『孤闘 三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎刊)を上梓。同7月、法務部長に昇進するも「木原事件」の取材を進めることも踏まえ、同11月にテレビ朝日を自主退職。同月、西脇亨輔法律事務所を設立。今年4月末には、YouTube『西脇亨輔チャンネル』を開設した。
西脇亨輔