BTSやBLACKPINK は韓服好きアピールで愛国心示す?K-POP世界席巻の陰で韓国が焦る伝統衰退、反日感情に飛び火も…
■ 韓服好きかどうか、愛国心を測るバロメーター? 伝統の中では特に、韓服の着用が愛国心の強さを測る重要なバロメーターであると見られている。 そのためか、歴代の大統領夫人は、外遊へ同行などフォーマルの場では韓服を着用する場合が多かった。 例えば、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の在任中、金正淑(キム・ジョンスク)夫人は外遊の同行の際に韓服や韓服のテイストを取り入れた衣装を好んで着用し、「ファッション外交」を展開した。 文在寅政権下の2018年からは、文化体育観光部の主催で毎年10月に韓服文化週間が実施されており、今年で7回目を迎える。ホームページでは韓服のことを、「私たち(韓国人)の洒落気と伝統が込められた服」と紹介し、ファッションショーなども開催して国内での伝統維持に力を注ぐとともに 、世界にアピールしている。 他方、現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の金建希(キム・ゴニ)夫人は韓服をあまり着用しない。大統領就任式に白いワンピース姿で臨み、メディアから「この服はどこのものだ」と批判されたほど、韓服を好まないことに対する風当たりは強い*2 。 *2:「美魔女」と呼ばれる尹大統領の金夫人のファッションを見る だからだろうか。世界を席巻するK-POP界でも韓服アピールは欠かせないようだ。 景福宮で 5月21日に開かれたイベント「コリア・オン・ステージ」では、アイドルグループのNewJeansが韓服姿でパフォーマンスを披露した。また、IVEは今年公開したミュージックビデオで韓服をアレンジした衣装を着用している。 兵役のために活動休止中であるBTSも、韓服への思い入れを語っている。米メディア『Cosmopolitan』が2020年に公開したYouTube動画で、BTSのメンバーは一番好きな衣装として韓服をベースにしたものを挙げている。メンバーのSUGAは「韓服は韓国固有の服」と発言し、愛国心をアピールしてみせた。 こうした動きにもかかわらず、韓国の若者が韓服を着たがらないというのは、何とも皮肉な話である。韓服は、K-POPの力をもってしても、国内にはあまり響かないのだ。 これまで韓服を最も強烈にアピールしたK-POPアイドルはBLACKPINKであろう。彼女たちは20年6月に公開したミュージックビデオで、韓服をベースにした斬新なデザインの衣装をまとっている。それらはキム・ダンハ氏というデザイナーによるものだ。 BLACKPINKが2020年に公開した「How You Like That」のミュージックビデオ キム・ダンハ氏は名門の成均館大学の韓国宮中服飾研究院で研鑽を積み、博士号を取得した。現在は、日常に着る韓服を提案するアパレル会社ダンハの代表を務める。 BLACKPINK効果で、ダンハの服は海外からの問い合わせが殺到したというが、国内ではそれほど大きな反響は聞かない。ダンハの服はミレニアル・Z(MZ)世代の韓国人の好みに合わせていて、カラフルで華やかな現代風のデザインを採用しており、一目でそれとわかる。 韓服にも興味をもっている私は、BLACKPINKの動画をきっかけにダンハのメンズ商品の購入を検討するほど、ダンハの韓服にはずっと注目してきた。だが、街中ではあまり見かけず、私自身は一度しか見たことがない。ダンハの衣装を取り上げた韓国人のブログも、決して多いとは言えない。