テニス選手を苦しめる誹謗中傷投稿の約半数は「賭博がらみで怒り狂ったギャンブラー」によるものと判明!<SMASH>
ソーシャルメディアの普及によって試合を終えた選手の元には数多くの誹謗中傷メッセージが押し寄せる。なかには殺害予告ともとれるような酷い内容のものもあるという。まったく気にしない選手もいるが、女子元世界ランク38位のレベッカ・マリノ(カナダ/現102位)の場合はソーシャルメディアの攻撃を受けてうつ病になり、約3年5カ月にわたり戦線離脱を余儀なくされた。 【動画】中傷投稿によるうつ病を克服した2024年現在のレベッカ・マリノ 年々増え続ける中傷投稿に関して、国際テニス連盟(ITF)、女子テニス協会(WTA)、米国テニス協会(USTA)、そして全英テニスクラブ(AELTC)は昨年、X・フェイスブック・インスタグラム・ティックトック・ユーチューブの投稿を監視するプログラムを立ち上げるため協力。人工知能を用いた検出システムによる調査に着手し、その結果が今年の12月19日にITFから発表された。 調査は2024年1月から10月までの投稿を対象に『スレット・マトリックス/Threat Matrix』(サイバー攻撃の手法をまとめたMITRE ATT&CKに記載されている攻撃手法のうち、特定の対象に適用できるものを抽出したもの)で247万件を監視。すると約1万2,000件の投稿とコメントがソーシャルメディアプラットフォームのガイドラインに違反していたことが判明。また、その違反投稿の48%は賭博がらみで怒り狂ったギャンブラーによるものだった。 試合に負けた時、さらには試合に勝っても、次々と選手に寄せられる中傷投稿。ギャンブルで金を失い、フラストレーションを溜め込んだ連中が不満の捌け口を見つけられず、サイバー空間を利用して鬱憤を晴らそうとするのである。 こうした悪質な投稿はソーシャルメディアプラットフォームに通報されすぐに削除され、深刻なケースはアカウント全体を削除したケースもあった。また犯罪基準を破ったとみなされた15のアカウントに対しては、該当国の法執行機関に通報されてしかるべき対応も行なわれた。 「プレーヤーとより広いテニスファミリーをオンラインの不正行為から保護することは、私たち全員にとって重要なことです」と、ITF、WTA、USTA、AELTCの広報担当者は口を揃える。 そして2025年シーズンに向けては「スレット・マトリックスのイニシアチブはさらに強化され、必要な人のためにダイレクトメッセージによる虐待防止のサポートが追加されます。私たちは直面している戦いについて現実的に考えていますが、アスリート、彼らの精神的健康、全体的な健康をオンライン虐待から守るためにできることは何でもするつもりです」と宣言している。 構成●スマッシュ編集部