腐る地方県警…5人逮捕の鹿児島県警「百条委員会」でメンツ丸つぶれ!出向中の岡山県警幹部は不同意性交容疑で逮捕、崩壊したガバナンス
本田被告の主張と、本来の記載はつじつまが合わない
ここで、改めて本田被告の起こした事件を振り返りたい。本田被告は、今年3月28日、県警の職員が起こしたストーカー事案の被害女性の名前を含む内部情報をまとめた文書を札幌市のライターに送付したとされる。4月8日に別の捜査情報漏えい事件の関係先として、県警が福岡市のネットメディアを家宅捜索した際に、文書データが見つかり、本田被告の事件が浮上した。 県警は5月31日に国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで本田被告を逮捕したが、6月5日に鹿児島簡裁で開かれた勾留理由開示手続きで、本田被告は突如、県警枕崎署員が起こした盗撮事件の捜査で野川明輝県警本部長が事件を隠蔽するよう指示したと主張した。本田被告の情報漏えい内容が内部告発の意味合いを帯びたことで、メディアからの注目が一気に高まった。 だが、その後の鹿児島県警の説明によると、本田被告が当初、札幌市のライターに送った文書には、野川本部長の隠蔽を指摘する記載はなく、代わりに当時の刑事部長が盗撮事件の「静観を指示した」との記載があった。県警の調査では、本田被告が勾留理由開示手続きで主張した本部長の隠蔽指示や、ライターに送付した文書に記載された刑事部長の指示は虚偽であると認定されている。そもそも「本部長が隠蔽を指示した」とした本田被告の主張と、本来の記載はつじつまが合わない。
「告発」事件の背景に組織内の出世競争説
ある警察関係者は「この事件の動機は、本田被告が同い齡でライバル関係にあった刑事部長の名誉を傷つけようとして起こしたのではないか」とみる。本田被告が文書に名前を記載した刑事部長は、本田被告と同い齡で、県警内の出世競争でライバル関係にあった。地元トップの鹿児島大学を卒業して県警警察官を拝命した本田被告は、高卒で県警に入っていた年齢同期の刑事部長よりも出世競争でリードしていたが、ある時期に逆転されたという。 刑事部長も生活安全部長も、都道府県警採用のいわゆる「ジカタ」と呼ばれる警察官にとっては、ともに最高クラスのポストだが、県警では刑事部長がジカタポストの頂点とされる。警察関係者は「本田被告が刑事部長になれなかった自身の処遇に不満を持っていたのではないか」と明かす。