【お悩み】一人暮らしがしたい息子、心配な母…大学入学で迎える転機、どう解決する?
心配が募るは自分が寂しいから
いずれにしても家を出ることが決まっているなら、入試が終わったら早々に部屋探しを始めることになるでしょう。年末年始のこの時期から春までの最大約3カ月間、親としていろいろ言っておきたい気持ちがピークになってくると思います。 それに最近は、若い人が巻き込まれるお金絡みの犯罪も多く報じられているので、不安になる気持ちもよくわかります。ただ、「生きていくために必要な価値観」は、決して短期間で身につくものではありません。一度に話して詰め込めるようなものではなく、これまで一緒に過ごしてきた18年間の蓄積であるはずです。 だからこの時期に親が伝えておくべきなのは、「あなたなら大丈夫よ。でも困ったらいつでも相談しておいで」という言葉です。親の不安を伝えすぎると、子どもは何かあったときにも、「親に知られたら、またあれこれ言われる」と考えるようになります。親はどっしりと構えて、子どもがSOSを出しやすい関係をつくっておきましょう。大学進学後は、嫌がられない範囲で食べ物を送るとか、「掃除の手伝いに来て」と言われたら行ってあげるとか、サポートの方法はいろいろあります。 息子さんは受験勉強の心配は少ないようで、これは親にとってはとても幸運なことです。もしかしたらその分、先のことに心配が向かってしまっているのかもしれませんね。子どもの独立は、親にとって寂しくて当たり前。心配が募ってしまう根っこには、その強い寂しさがあることも多いです。でも、子どもが成長するときには親も成長しなければなりません。社会人になる前の自立の練習だと捉えて、春までの時間を大切に過ごしてください。
プロフィール
道山ケイ(みちやま・けい)/年間約3000組の親子をサポートする思春期の子育てアドバイザー。元中学校教師の経験を生かして思春期の子育て法(愛情バロメータ理論・なかよし貯金理論)を確立。メルマガとLINE講座の読者は合わせて5万人を超え、「親子関係が良好になる」「子どもの成績が上がる」と話題に。各種メディアへの寄稿のほか、著書に『親子で一緒にやるからできる 中学生の勉強大全』(主婦の友社)、『ウチの子、最近、思春期みたいなんですが親子でイライラせずに乗り切る方法、教えてください!』(すばる舎)などがある。
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