お笑い芸人・ママタルト檜原さんの“お楽しみ”を届けるエッセイ連載スタート!/ママタルト檜原の楽しみ日記
「M-1グランプリ」にて2022年から3年連続で準決勝に進出し、着実に認知度を高めているお笑いコンビ・ママタルト。独特な言い回しの長尺ツッコミが癖になるツッコミ担当・檜原洋平さんは、持ち前の陽気な性格とハッピーオーラで笑顔を届けるご機嫌ボーイです。「ママタルト檜原の楽しみ日記」では、そんな檜原さんの生活にある“お楽しみ”を皆さんにおすそ分け! 【写真】ママタルト檜原の楽しみ日記 ■第1回「たこ焼き」 「ママタルト檜原の楽しみ日記」がスタートしました。この連載が決まったということは、僕の日々のお楽しみを皆さんに読んでもらう流れができたということで、その流れを期待していた方にとってはガッツポーズが出るのも普通でしょう。 ガッツポーズでいうと先日「M-1グランプリ2024」の準決勝進出発表がありまして、部屋のTV画面(55インチあり。55インチのTVを購入したとき僕は人生の最後のイベントをクリアしたと思ってそこから半年何もやる気が出なくなった)でTVerの発表を見たんですが、あれは相当なガッツポーズが出ました。 準決勝進出者の発表はエントリー番号順で、僕は4224番だったので序盤は寝転びながら見ていました。3750番のオズワルドさんが映ったとき「いよいよや!!やめて!!!こわい!!!」と起き上がりマンションの隣の部屋に聞こえるくらいのボリュームで叫びました。 その次に3785番のフースーヤが映って「そろそろ来んのか?!そろそろ来んのかア!!!」と少しヒートアップし、同じマンションに住む全員に聞こえるボリュームで叫びました。 4050番の今夜は星が綺麗さんが映ったときに「わああ!!!もう4000きた!!!これ次こんかったらきつい!!!ガァァァァ!!!!え今夜は星が綺麗!!??」と、さすがにこの頃には僕のマンションの前の道路を渡った先にあるファミリーマートの店員さんに聞こえるボリュームで叫んだあと、僕と大鶴肥満の大きな背中が映ってエントリーNo.4224と出た瞬間、そのファミリーマートから5分ほど歩いた先にある肉のハナマサの店員さんにも余裕で聞こえるボリュームで「よっしゃぁぁああ!!」と叫びました。 角田信朗の「よっしゃあ漢唄」のよっしゃあを1よっしゃあとするだろエージ?そしたら俺のよっしゃあは8万よっしゃあはあったさぁ。エージはどうかぁ? そのとき固く握った拳を1mほど前に突き出したものですから、たまたま僕がベッドの上で正座しながら見ていたから大丈夫でしたが、クローゼットの中で見ていたら必ず壁に穴をあけていたでしょう。 ママタルトの合格が分かったあと、準決勝進出者配信のBGMは少しテイストが変わり、“俺を踊らせるための音楽みたいなやつ”になったので、僕は両手を上に突き上げ、右右左右、左左右左という風に左右に振り分けて踊りました。スロットでビッグボーナスの消化中に7を揃えてART突入が確定したあとみたいでもあった。 その動きは、毎日30分を日課にして一年続けたら上半身が逆三角形になるような激しいものでしたので、クローゼットの中でやっていたら穴だらけになっていたでしょう。 ■たこ焼きの作り方を忘れていた自分にショックを受け… それはさておき第1回目の楽しみはたこ焼き。 今年の9月末に、春とヒコーキ・ひつじねいり・ママタルト・令和ロマンの4組で1年間やらせてもらっていたテレビ朝日の「研修テレビ!!」という番組が終了することになり、その最終回を僕の家に集まってみんなで見ようということになったんです。そのときにAPの渡辺さんがたこ焼きプレートを持ってきてくれて、久しぶりにたこ焼きを作りました。 同じ関西人のひつじねいり松村さんと2人で監修しながらたこ焼きを作ったのですが、僕がたこ焼きの作り方を忘れていたことがショックでした。なんとなく水を多めに入れたほうがおいしくなることや、ホットプレートは火力が弱いので焼き方にコツがいることしか覚えていなかったのです。 「これは関西人として生まれなおす必要がありますわな」 そう思った僕はすぐ、たこ焼き用の鉄板を購入して、かじもんしょっちゃん周成(※かじもんとしょっちゃんと周成。大学からの友達。かじもんと周成は放送作家。しょっちゃんは前の相方で今はスタンダップコメディアン。異様な頻度で出てくるかもしれないので覚えておいてください)に連絡。数日後、僕の家にたこ焼きをしにきてくれました。 ネットでおいしいたこ焼きの焼き方を調べると、「コツは水分量とだし」とありました。たこ焼き粉に対して水分量が多ければ多いほどトロトロのおいしいたこ焼きになるんですが、その分技術が要求される。 その記事を見た僕は「やろやないか。いや、ほいだらやったろやないけ」と心の関西が奮い立ち、「たこ焼き粉100gに対して水300ml」と書かれている袋の説明を無視して、たこ焼き粉100gに対して600mlのダシを投入しました。 そしたらとんでもなくひっくり返すのが難しかった。どんなに強火にしてもちょっとしか固まらず、卵黄のようにちょっと穴があいたら破けてしまいました。それでもなんとか焼き続けること体感2時間。無事に外側カリカリ内側トロトロのたこ焼きが出来上がりました。 この出来上がったたこ焼きをどこに移すのか?ここで僕のお楽しみな部分登場、なんとこの日のためにAmazonでたこ焼きを乗せる用の舟皿を購入していたのです。 この舟皿を「今日のために俺、舟、買っとるでぃ」とキッチンの戸棚から取り出したら、しょっちゃんかじもん周成は「舟を買っとるとはさすがヒワボーイやでぃ」「正直皿で食べるのとは風情が明らかに違うでぃ」「単刀直入に言ってホスピタリティの塊やでぃ」と褒めてくれました。 そこからは誰かがたこ焼きを食べては周りが「灼熱?」と聞いて、「灼熱やでぃ」と返事することの繰り返し。3回焼いて全部で48個食べました。食後には「十二分にうまいたこ焼きやったけど、正直これは序章に過ぎへんでぃ。まだまだ上を目指させてもらうでぃ」と宣言して解散しました。駆け抜けろたこ焼きロード。