ドロシー博士が教える「子どもの長所を伸ばす親の言葉」
子どもは親に誉められた面を伸ばしてゆく
親が子どもの長所を見つけ出し、それを誉めれば、子どもは肯定的な自己像を形成してゆくことができます。子どもは、よいところを誉められれば誉められるほど、よい子になろうと頑張るようになるものです。 ある日、お父さんは、8歳の息子に言いました。 「おばあちゃんが来ていたとき、やさしくしてあげていたね。おばあちゃんがソファから立ち上がるのに手を貸してあげただろう」 「見ていたの?」 ブラッドは驚いて言いました。あんなことがお父さんの目にとまり、誉められることになるなんて思ってもいなかったのです。このお父さんは、こんなふうに息子を誉めることで、人を思いやり、やさしくすることの大切さを教えました。その家庭の価値観は、このようにして親から子へと伝えられてゆくのです。 親に誉められて初めて、子どもは、今まで自分では気づかなかった自分の長所に気づくこともあります。 7歳のアマンダは、ビーズでブレスレットを作れるようになりました。友だちがみんなブレスレットを欲しがったので、アマンダは、一人ひとりに合う色を選んで作ってあげました。 こんなアマンダのどこを誉めるかは、お母さんの腕の見せどころです。「すごいわね。こんなきれいなブレスレットが作れるなんて」と、センスのよさを誉めることもできます。あるいは、「こんなによくできているんだから、お店で売れるわね」と、ブレスレットの商品価値を誉めることもできるでしょう。けれど、このお母さんは、「お友だちに合わせて、一つずつ作ってあげるなんて、やさしいわね」と、アマンダの友だち思いを誉めました。このお母さんは、アマンダの思いやりの心に気づき、そこを誉めたのです。こんなお母さんのおかげで、アマンダは、自分にはそんないいところがあったのかと気づくことができたのではないでしょうか。そして、人を思いやることの大切さを学んだのです。 お子さんのどんな面を誉めたいと思うかは、もちろん、親御さんによってそれぞれ違うことでしょう。しかし、子どものどこを誉めるかによって、子どもの人格と価値観の形成に大きな影響力を及ぼすことになるのです。それを忘れないでいただければと思うのです。
ドロシー・ロー・ノルト著、レイチャル・ハリス著、石井千春訳