金光大阪・エース古川160球完投 第3の球種に手応え センバツ
第94回選抜高校野球大会は第7日の25日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦があり、金光大阪が木更津総合(千葉)を延長十三回タイブレークの末に4―3で降し、初の8強入りを果たした。古川温生投手(3年)が13回を160球、一人で投げきった。 【金光大阪vs木更津総合 手に汗握る投手戦】 ◇ 最速144キロの直球でも得意とするスライダーでもない。金光大阪の右腕・古川がこの日ベストピッチングにあげたのは五回のカーブだった。「(捕手の岸本と)しゃべっていても感覚的に一番良かった」。第3の球として手応えをつかんだ。 五回1死から7番・渡辺をスライダーで見逃し三振。続く8番・越井は直球とスライダーを交えながら追い込むと、最後は打者には思いもよらないカーブ。目線を一度上に上げられた越井は、バットを出すことができずに見逃し三振。打席では面食らったような表情だった。 苦い思い出がある。昨秋の近畿大会準々決勝の近江戦。スライダーを狙われると制球も乱れ四回までに6失点。打線が7点を奪い逆転勝ちしたが「スライダーを狙われたら苦しくなるし、三振を取れるボールを増やしていきたい」。一冬の間に勝負球として投じることのできる変化球の構想を練っていた。 エースの誇りとして途中でマウンドを降りることはない。タイブレークに突入した延長十三回もベンチ前でキャッチボールを行い、十四回以降に備えた。「これだけ長いイニングを投げきって不安だったが、勝ちが決まった瞬間はほっとした。自分の投球をしてきて良かった」と胸をなで下ろした。 2試合22イニングを一人で投げきって自責点は「0」。甲子園で完璧な投球を続ける姿に「古川の頑張り、粘りに尽きる」と横井監督もたたえる。甲子園春夏計4回目の出場で初の準々決勝進出を決めた。次戦の相手は近江。昨秋以来の再戦は、成長の証しを見せる機会となる。【藤田健志】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。