対暑グッズ 求める機能は?
電動ファン付きの作業着やネッククーラーなど、農作業中に身に着ける熱中症対策グッズが浸透してきた。さまざまなグッズがある一方、若手農家は実際にどのような製品や機能を求めているのか。農家からニーズを聞いた記者は6月中・下旬、福岡市であった猛暑関連グッズの展示会「九州猛暑対策展」を訪れた。 【画像】空調服をおしゃれに着こなすメーカー担当者 「ファン付き作業着は便利だが、果樹が密植していると葉や枝を巻き込む。ファンなしで涼しいウエアがあるといい」。熊本県天草市でかんきつ「不知火」など2・4ヘクタールを手がける農家の川田大志郎さん(35)は話す。同地域は7、8月に早場米を収穫し、作業時は暑さが厳しいため「長時間、しっかりと冷える製品もほしい」という。
水だけで冷やす
話を聞いた翌日、猛暑対策展を訪ねると、早速「ファンがなくても涼しい」という要望に応える製品を見つけた。 スリーライク(茨城県龍ケ崎市)が紹介した、バッテリーや保冷材を使わず水だけで体感温度を5~15度下げられる冷却ベストだ。 気化冷却を使った独自システムで、水を最大500ミリリットルを注ぐと最長72時間効果がある。「そのまま着ても涼しく、ファン付き作業着のインナーにも使える」(同社)。
首に狙って冷気
富士通ゼネラル(神奈川県川崎市)が展示した、首元にかける小型エアコン機器「コモドギア」は、記者も装着したが「しっかりと冷える」製品だった。 血流が集中する首を狙って冷やす。水冷式で外気温が高くても一気に冷える。過酷な暑さの中で作業する鉄鋼業界などで好評という。 説明したウエアラブル事業部の石井直輝さんは、妻の実家が山梨県笛吹市でブドウ「シャインマスカット」や「巨峰」を手がける農家。「摘粒など、夏場の作業などで活躍している」と話す。 弱中強の3段階あり、「中」なら平均4時間使える。石井さんは、農作業を手伝うとき、昼の休憩時にバッテリーを取り換えて長時間活用する。暖房機能もあるため、冬場も着けているという。